訃報翌日の花園神社、いつも通り18:30に整理番号付きのチケットを握りしめて到着すると、いつも以上にごった返してた。ござ敷のテント内にギューギューに詰め込まれ、さらに後から来る客のために全員が数センチずつ動いて場所をこじ開けたのなんて、いつ以来だろう。自分もだけど、コアファンの先輩方はさぞ大変だったろうなと。終演後は腰パンパンで、しばらくまっすぐ歩けなかった。


コクーン版も含めて3回目の「泥人魚」は、やっぱりよかった。諫早湾のギロチン堤防を題材に、ヒトか人魚か分からない謎の少女を軸にした大人のおとぎ話。ブリキに義眼、貝殻。唐十郎の「物質」偏愛の摩訶不思議な世界が繰り広げられる。劇団公演は21年ぶりで、主演は若手に、ベテランは後方に回り、まとまりがすごく心地よかった。南河内の内藤裕敬がゲスト。こんな重い芝居する人だったとは。
最後はもちろん後ろがバーーンと開いて、涙が染み出す(笑)。新演出だと思うんだけど(唐さん追悼ということではなく)、最後の余韻が半端なかった。隣にいた見知らぬ先輩(推定67歳)が何度も目を拭っていて、自分もさらにもらい泣き。

唐さん、事故で書けなくなったことも、板に立てなくなったことも、さぞ無念だったろうな。でも戯曲は残るものだし、劇団もまだまだやれる。唐十郎的世界の見方はきっと継承されると信じて、これからも見続けようと思うわけであります。
合掌。