船・新潟港
先週、先々週と2度ほど出張した。
新潟港にほど近い地域で仕事を済ませて、移動しようとしたら、
停車してる道路の突き当り付近に見慣れないものが見えた。
ありゃ、船だぞ・・・
停車していたのは、信濃川河口に近い地域。
港が近いのは知ってはいたが、港の施設は全く見えない。普通の町並み。
東京の下町同様に、海抜0メートル地帯だが、墨田区あたりでは
川から見える船は小型船。大型船は河口から離れた港、埠頭に見える。
港湾私設が全く見えない位置から、
いきなり船、それも周囲の一般住宅よりもはるかに大きいビルのような
大型船が見えたので、とても驚いた。
奈良の公園なんかで、小鹿に鹿にエサをやっていたら、木陰から
インド象が、のっし、のっしと、出てきたのを観たら、
こんな感じをうけるのだろうか?
次の待ち合わせまで少し時間があるので、道の突き当たり、
土手の上まで見に行くことにした。
河口が見渡せる所まで出ると、信濃川の河口は広かった、
立派な桟橋があって、ここは港だと解る。
桟橋接岸前に、ゆったりと回頭する船を見ると、
空港で駐機するジャンボ・ジェット機を眺めているのとは
違った、独特の感慨がこみ上げてくる。
5000トン以上はあると思われるフェリーボートは
そもそも大きいのだが、
都市部で同等のビルを見ても、特段の感慨は沸いてこない。
周囲に大きなものが様々にあって、その存在感を打ち消しているのか。
そういえば、東京港から隅田川を上がるコースを取ると、
大型船はあっても、在るだけで、存在感は特に感じない。
ここに在るのは、だだっぴろい河口と、桟橋、少しの小型船舶。
よく作られた、広大な庭園のような風情だ。
これが、おもちゃ箱の中で見る、としたら、こうは見えなかったわけだ。
昔、シイサマ世代の人に習った歌に、
♪~白銀(しろがね)の波 しずしずと 進む御船の とおとさよ~
なんてのを思い出した。
戦前の、江戸時代と大差のない、派手な商業ビルなど何も無い、
アメリカの1/20しか生産出来ない日本の町並みや海岸線の風景の中で、
大きな船は浮かべる城、あるいは、水上の宮殿だったであろう。
しばし、見とれていたら、次の待ち合わせに遅刻してしまった。


