昨日、売場に父から電話が入った。

 「いまね、オレオレ詐欺から電話がかかってるんだよ」

 「はあぁぁ?」


 父の話によると・・・

 犯人「オレオレ」( 兄も実際、こうやって掛けて来る。)

 母 「あ、お兄ちゃん?ちょっと待って、今お父さんに代わる。」

 父「おぅ!」

 犯「今、風邪ひいちゃって声が変なんだ。

   実は会社の金を使い込んじゃって、困ってるんだよ。

150万何とかならないかな」

 父 「・・・そんな金ないよ」

 犯 「100万でもいいんだ」

 父 「・・・銀行行かないとわからないなぁ」
 
 犯 「じゃ、銀行行って電話してよ。携帯の番号が変わったんだ。090~~」

 父 「足が悪いから、行って帰るのに時間かかるよ」




 電話を切った父は、最初は信じていたけど、まてよ、と思った。

 そして、兄の携帯に電話したら笑い飛ばされた。

 で、私にかかってきた。



 父「最初は本当だと思ったんだよ」
 
 父は、理性的な、冷静な、慎重な人間だ。その父がコロッと騙されるとは!

 やはり歳には勝てないのか。


 

 私「仮に本当に困っていたとしても、私もお兄ちゃんもそんな形で電話するわけ

無いじゃない!」

 父「・・・そうだよねぇ」

 私「今、どういう状態?」 

 父「銀行に行って、向こうに電話することになってる」

 私「番号聞いてるの?」

 父「うん」

 私「その番号教えて。私が警察に連絡して、電話するから待ってて。

それまで他の電話出ちゃ駄目よ。多分、犯人からまたかかってくるからね。

出ないでね。」

 父「・・・う、うん・・・」

 ひどく不安そうな声だ。



 警察の防犯課にかけて、事情を話した。

 刑事は「それは100%詐欺です」と言った。

 だから電話してんじゃないのっ!!

 「まず、絶対に銀行に行かないこと。そして、この次に犯人から電話があった時は、

ハイハイと返事をして、電話を切ったらすぐに110番してくれるように

お父さんに伝えて もらえますか?」

 「今は、色々な手口があるんですよ。振込ばかりじゃなくて、

家に取りに行くというのです。取りに行く直前になって、

『急に行けなくなったから会社の○○さんが行くので渡してほしい』

 という電話がかかってくるのですよ。

 もし、お父さんにご協力頂けるなら、おとりというか、

騙されたフリをしてですね、 取りに来たところを捕まえる、

ということも考えられますし、また現にそうして逮捕された 例もあるのですが、

いかがでしょう?」


 「父の意向を直接訊いてみて頂けますか?」と言って、実家の電話番号を教えた。




 私はそのまま仕事に戻った。



 夜、電話をしてみた。

 「あれから夕方、刑事が二人来て、色々訊かれて大変だったよ」という。

 「犯人からまた電話があってね、金があったか?って聞くんだよ。

『これから会社の佐藤という人間が取りに行きますから。』って言われた時、

 これは絶対に違うと思ったよ。

 兄貴は『行きます』なんて敬語、絶対に使わないから。

 これはうまく逮捕出来るように110番すれば、他に騙される人が出なくて済むと

 思って、それからどうしようと思って、『もしもーし、あれ、聞こえないなー、

 え?何言ってるかわからないなー』って、時間を稼いでいたんだ。

 そうしたら、お母さんが電話に出て、

 『アンタ、誰っ?!名前、名乗りなさい!!!』
 
 って言ったら切れちゃったんだ。(あ~ぁ。。。)

 刑事にその話したら、二人で顔を見合わせて『こりゃだめだ』というように

 首を振って、こういうことがあったから注意しなさいと周囲の人たちに

 広めてください、と言って帰ったよ」
   
 母の気持ちはわからないではないが、万事休す、だ。



 日ごろテレビで、「振り込め詐欺、被害総額○千万円」なんて見るたび

 「なんで振り込んじゃうんだろーね?わかりそうなのにね。」なんて言ってた

 両親が、いとも簡単に騙されかけた。

 特に石橋を叩いても渡らない父が、である。

 それは、子供が困ってると聞いて、なんとかしてあげたい!という気持ちが

 先に立って、理性的な判断力が鈍るためだ。

 この手の詐欺は、親の子供を思う気持ちを利用した、

人の弱みに付け込んだ卑劣な行為・・・

 今まで人ごとだったけど、いつターゲットになるかわからない、怖い時代だ。

  

 以前ニュースで、オレオレ詐欺をしている男が、顔を隠して声を変えて、

取材に応じていた。
 
 ヤツは詐欺に罪悪感は無い、と言っていた。

 ヤツは詐欺を「仕事」と言っていた。

 仕事とは、「事」に「仕える」こと、

 ヤツらの「事」とは人を陥れること。


 
 ロクな死に方しないぞ。目を覚ませ!





iPhoneからの投稿