科学系のイベントというのも多々あるが、幾度となくそのスタッフとして参加してきた経験のある私として、少しつぶやきたいことがある。

「同一内容複数回実施のイベントは2回目以降の回に行くべし」

サイエンスショー、実験教室で、1日に同一内容で複数回実施するものは非常に多い。これらの内容は科学系イベントでも目玉に据えられることも多くある。

そして、よくある話として、大概、午前の回や1回目のお客さんというのは数が多いことが多い。特に午前の回と午後の回の二部制の場合、午前の方が集客が良いのが経験としてある。

だが、私としてそれはオススメできない。

もちろん、参加者の皆様の日程の都合こそ最優先されるので、そこにとやかく言うつもりはないが、スタッフからすると、「もったいない」と思うことがあまりにも多い。

なぜ、午前の部、第一回をオススメできないか。

1.第1回は「バグ」が多い

科学系イベントの主催者やスタッフの全てがプロなどという、わたしには全く縁のない回をのぞけば、だいたいのところ、1回目は「とりあえずものにはなってる」というものを作りつつ、やはり発生してしまう「バグ」、つまり、想定できなかった問題点を対処して午後の回に臨む、というのが常ではないかと思う。

本来のプロの姿勢としては最初からバグのない「完璧」が理想だが、一方で出てきたバグはすぐに取るというのも、求められること。

実際、バグがない状態というのは、同一会場で繰り返し繰り返し、相当な頻度で同じようなイベントを同じスタッフで積み重ねているならともかく、そうでもなければどこかしら「未知数」な要素が運営側にはあるもので、それでバグなしなんていうのはかなり厳しい要求である。

毎回同じの「詰まらない」ものにして、その上でスタッフがそうした科学イベントの「プロ」で固めるならともかく、そんなことは現実的でもなければ面白みもない。

ある程度のバグは避けられないから2回以上あるイベントの1回目はバグ取りの回になりがちなのである。

2.スタッフとの交流

1.に述べたように、第1回はバグが起きやすく、第2回に向けてバグとりの作業をすることが多い。
しかし、それ以降の回では、バグとりがほとんどなくなってくる。特に最終回はバグとりそのものがいらない。

大概、スタッフも疲れてくるものだが、科学系イベントに携わるスタッフの多く(全部ではない)はお客様との交流を楽しみにしている。それゆえ、「質問」(それは内容に関係するものでもしないものでも良い)のようなものを受けられるのはとてもうれしいことであり、科学系イベントの副次的な目的の1つはそこにあると言ってもいいと思う。

これはサイエンスコミュニケーションという概念においても「対話型モデル」と称される、専門家(スタッフがサイエンスの専門ではないケースもあるが)と市民が親密にやりとりをするスタイルにも通ずるところがある。

しかし、第1回のあとというのは、第2回が差し迫っている。最後の回と違ってゆとりがない。それゆえ、コミュニケーションが難しい。