これからこの実験をタネにした量子論ないし、波動性によって生ずる、通常の粒子描像から直観的(なので個人差はあるものの、一定の人たちが共通する意味で)にたどり着く認識が誤認になる話に展開していくことにはなるのだが、その前にタネと仕掛けだけは明確化しておきたい。

まず、先の絵の測定器が粒子数のカウンターであることを注意したい。つまり、一定の時間の間に何個の粒子が検出器にやってきたか、を我々に教えてくれる。


そして、その出力をフーリエ変換して、0でない周波数にピークがあるというのがミソである。

つまり、検出器にやってくる粒子数はミラーの影響で増減するのである。

1の記事で書いた干渉の議論ではミラーの影響がどうなるかを全く議論しておらず、単に弱め合うか強め合うかとしか言っていない。

仮に干渉のしやすさ、しにくさないし、それが強め合ったり弱めあったりと言った性質が、ミラーの影響を受けないとするならば、検出器の出力は時間によらないはずなのである。

この実験だが、そのような干渉性を「ほとんど変化させず」、また、強めあい弱め合いの議論がほとんど「強めあいなら振幅2倍、弱め合いなら振幅0」となる理想的干渉ができているが、その理想的干渉性がミラーによってわずかに壊される、その干渉性のわずかな破壊行為への応答(多少物理になれていれば「線形応答」といえば伝わるだろう)をみている。

ということでだいたい想像つくだろうが、本来ミラーを動かさない状況と変わらないので、定常的成分が本来はある。論文ではじつはそれがグラフに書かれておらずややチートというか、「変」さを生み出している。

しかし、ミラーによって干渉性が変わってしまうため、その干渉性の変化を利用して「測定」しているのである。

結論から言うと(やや雑だが)、鏡ABCEはその挙動により干渉性を変化させる働きがあり、ABの変化はEを経て検出器にまで影響を及ぼすが、Eには「光がやってこない」ためにEによる干渉性の変化は検出器では見られない、というものである。(Eにおける「光がやってこない」の意味は干渉性の議論の中で説明する。)

干渉性の議論をちゃんと追わないことにはこの結果を知ることはできないのである。

ということで、次回はミラーの変位による干渉性の変化の話をして、線形応答の項がどんなものなのかを述べる。

とすると次々回は時間対象形式の話になってくるかな?(私の研究室同期の研究テーマがコレ。私自身はもう少し応用向きで量子状態と量子測定を特にパラメータ推定の観点からその性質を分析するという問題設定でやっている)

この話何部構成にしようかなぁ?