Asking photons where have they been

というタイトルの論文がある。(arXiv:1304.7469で公開されている)

 

こんな実験を準備する。

 

ここで実験に慣れていないだろう人のために解説をするが、ハーフミラーというものは、真ん中の斜めの線で半分を反射し、半分を透過する性質を持っているもので、反射するときには入射光に対して位相が90度進む(※波長の進ませ方はものによる)が透過光はそのままのため、透過光にくらべて1/4波長分だけ進むという性質がある。

 

高校物理で位相が整数ずれたときに干渉すると強めあい、半整数ずれたときに干渉すると弱め合うということを習っているだろう。位相が反転するというのは、これまでと真反対の方向に向くということで、それらをベクトル的に足したら消える、というイメージを持ってもらえればと思う。何れにせよ、次に定義する記法で同じ数字の光が来ると強めあい、2ずれた光が来ると弱め合うということを使えれば十分である。

 

1/4波長進むと1

2/4波長進むと2

3/4波長進むと3

元および整数波長進むと0

と記述することにする

 

1のハーフミラーからDに向かう光は1である。

同様にして

1からCを経て4に向かう光は0

2からAを経て3に向かう光は2

2からBを経て3に向かう光は1

といえる。

 

3でAからの光とBからの光が一緒になる。3からEに向かうには、A経由の光は反射するので3に、B経由の光は透過なので1である。

ゆえに、Eに向かうときには打ち消し合う。

 

一方で、図の下方向に向かう光は3に来た光の全部となる。

Cに来た光は4を透過するのはそのまま0で4で反射するのは1になる。

 

このプロセスの結果、最初の光の1/4は強度測定器にたどり着き、それは全てCを経由した、というのが通常誰でも思う結果だろう。

 

ところが、である。それを本当かどうか調べるために、A~Eのミラーの向きを揺らす。すると光の向きが揺れる。どの鏡を通ったかを区別するために、A~Eの鏡を全て違う周波数で揺らした。

 

そして、強度測定器の出力をフーリエ変換し、出力を周波数別で読み取ると、なんとピークが立つのが、A、B、Cになる。そしてDの周波数もEの周波数も出てこないというのだ!

 

周波数によるふるいをかけると、光が辿った道はA、B、Cであって、D、Eではないという。この奇妙な実験について解説を書こうと思うが、次回に回そうと思う。