youtube動画を作ろうかという気持ちがあるのでちょっとそのための話をまとめることも兼ねて投稿します。

 

(1)力学って何?〜「軌跡」〜

そもそも物理って何?力学って何?って思われる方もいるかとは思いますが、つっこむとキリがないのでここでは

物質世界に普遍的な法則のうち、特に将来予測の学問

 

ということにしておきましょう。ただこれだと漠然すぎるのでもう少し具体性を持たせて「何か」を迫ります。

 

将来予測ということで時間の基本的な性質をあげましょう。

我々は時間をはかることができて、その時々刻々にさまざまなことを調べることができるでしょう。

 

もちろん技術的制約はあるわけだが、時々刻々に、物体の位置を調べることもできるでしょう。

 

落ちている物体の動画を見れば、コマごとに物体の位置が決まってて、それを追いかけると動いているように見えるわけですから、そういう考え方はできるわけです。

 

時々刻々、つまり、おのおのの時間ごとに位置が決まってて、それを連ねたものを「軌跡」といいますが、軌跡は過去から現在まで(時々刻々ちゃんと位置を調べていれば少なくとも)続いているわけですが、この軌跡は未来に続いていくだろう、と我々は直感的に思うわけです。実際そう思ってその後も調べれば、まあ、軌跡は続いていますし。

 

力学という学問は何か。答えは

軌跡の性質、特にそれが将来どのように続くかを調べる学問

ということになります。

 

「物体の位置が軌跡として描ける」ということは当たり前かもしれませんが、受け流してはいけません。

実はこれが力学を議論する数学的な言葉を決定する非常に重要な情報になります。

答えを言えば、ここでベクトルと関数の二つの言葉がコンボで必要になります。どっちも高校で初出で、コンボなんて高校ではしないわけだから、「そりゃ物理難しいわ」ってなるわけだけど。

とはいっても、素朴には物体の位置は軌跡としてかけるという素朴な言葉。

 

ただこいつ、現代の物理では随分と変質させられていて、そうも「当たり前」でもありません。余談ですが。

 

(2)未来は予測できる?〜予測可能性につながる法則たち〜

われわれの信念として軌跡で描けるだろうという気持ちがあるわけだけれども、軌跡が将来にどう続いていくか、というのは法則が何もなければ何も予言できません。

 

しかし、我々は予言能力がないでしょうか?物体の位置は予測できないでしょうか?

もちろん、すぐ近くからどんな先の未来に至るまで、どんな物体の未来をも、正確に予測するなんてのはまあ無理でしょうが、例えば野球で外野手の選手たちがバッターの打った球をキャッチして「美技」などと称えられるニュースを見たことはありませんか?

それはその守備の選手がボールがどこに来るかを予想して構えているからこそボールを取れるのであって、完全に当てずっぽうなわけではないわけです。

 

つまり、軌跡が将来どうつながっていくかを予想するのは、少なくとも一定の範囲ではできることが経験的に知られているわけで、とりあえずはそれを言葉にして、さらにはそれを計算可能な議論ができるような形にしたいというくらいで考えるのです。

 

そんななかで「例の奴」が幅を効かせます。

 

i-慣性の法則

力が働いていなければ、物体は静止または等速直線運動して見える

(また、そのような視点の置き方ができる)

 

「力」、「力が働く」、「静止」、「等速直線運動」といった用語や表現が出てくるのでなんじゃこれ?という感じですが、後ろ二つについてはベクトルと関数の言葉で明確に定義できるのですが、とりあえず、この記事で数式書きたくないので書きません。

力ってなんぞいということになるけれども、それは静止や等速直線運動という軌跡から別の軌跡に変えてしまう性質を持っているものです。

 

なんか定義が循環してるかのような、そんな匂いがあるのですが、それとの兼ね合いは次の「第二法則」によってある意味で緩和され、ある意味で複雑化します。

 

ii-運動方程式

働いている全ての力の総和は、その物体の質量と加速度の積に等しい

質量と加速度という単語が出て来てるし、「総和」などと言い始めているのでもう複雑極まっているのですが、これによって、力というものに性質が付与されます。つまるところ、「たし算ができる」というのが言えないと「総和」なんて言えませんし、また、「全ての」と言っているということから、全てを書き出してこれるのでしょう。

 

これ、慣れてる人は疑問に思わないと思いますが、実は結構すごいことを言ってて、静止や等速直線運動から変えるような性質のものは何かわからんけどとにかく見つけて来て、それを書き出して、総和をとるという計算ができるような代物だ、ってわけだから、われわれが何かしらの方法で関知して、その関知して知ったもので十分だというわけだから。

 

さらに、この法則に明記されているわけではないけれども、力は位置や速度ごとに決まってて、これを合わせると、数学で「微分方程式」と呼ばれるものを書き出せて、その場合、方程式を解くと、軌跡が過去から未来まで全部引き出せるのです。

 

いろいろと細かいところをすっ飛ばしていてこれで完結した法則ではないのだけれども、ここまでの知恵が実は未来を予測する本質です。野球選手が微分方程式を解いているわけではないはずだが、我々の理論の世界では、野球選手がなぜうまいこと構えられるのか、という問いは、ボールの軌跡が物理法則的に一意的に軌跡の定まるような問題設定になっている、という暫定的な回答を得られるのです。