大学に入学された皆様、おめでとうございます。
理系の多くの学部学科に所属の方は大学1年次から物理を学ぶ方が多いかと思いますので、そのようなところに幾らかコメントをしていきたいと思います。
大学や学部学科によってカリキュラムは違うため、一般的なところから説明しますが、大学までで物理を学習していない場合としている場合であったり、概論的講義を置くケースと高校で物理を学んでいるなどの前提を鑑みて概論的講義を置かないケースがある。
(1)概論的講義を置くケース
概論的講義を置くケースでは物理学を一年かけて全体俯瞰的に扱うようなものや、最先端研究の紹介のようなものなどあるが、理系の学部の場合は前者が基本的で、それ用の教科書も数多く出版されている。概論的講義では物理を学ぶのはさらに下部の構造を丁寧に扱う余力は取れないため、個人的な認識としては高校で物理を学んでいない人か挫折した人のために高校物理相当のものをやっている印象がある。
とはいっても自分の場合そのような講義を受けたことがないため、これを主観的に評価することは不可能だし、客観的にも難しいのでここでは書かない。
(2)概論的講義を置かないケース
最初から「力学」や「電磁気学」の授業を行う場合がある。いずれも数学的な道具立てを高校の物理と比較して充実させて、範囲を広げていくと思うといいだろう。力学の場合には「剛体の回転」の議論については高校では「テコの原理」だけで回転の「定常解」のみ見ていたのを、一般化する。また、電磁気の場合であれば、電磁波の波動方程式を導出し、電磁波の伝搬の性質を幾らか簡単なところについて分析する。
それ以外のところは、高校のレベルが一定程度やっていれば特に、演習の問題は実は一度は高校で見て来たような話だったりする。数学としては主に微分積分絡みの技法を追加する。高校の物理学では形式的には微分積分を使わずに扱うが、微分積分は二つの差分の比の、片方を0に縮める極限なので、極限をとる操作だけしないでやっている高校の物理をちゃんとわかっていれば微分積分を導入するというのは実は単に極限をとる操作を加えるに過ぎない。したがって、一次元の問題であれば困ることはなくて、もしつまづいたと思ったらそれは考え過ぎか、実はそもそも高校物理をわかってなかったか、と言ったところになってくるように見える。
大学の数学での微分積分は高校のそれと違って多変数関数だったり、多次元の問題を扱う。そこは高校の内容から大きく異なる。力学や電磁気学、熱力学と言ったテーマに特化した科目ではいずれの場合も、「問題を扱うための数学および数学を用いた定式化」を重要視している。
力学は物理学序論としての力学の場合、基礎付け、歴史、計算など含めて非常に豊富な議論を紹介してある。