入門用力学教科書というと物理の最初に勉強する内容であり、物理に入るという意味でもいろいろと考えたい本ということでレビューする。といっても最後に読んでから時間が経っているので細かいレビューは難しいのが正直なところ。また読み直して追記するかもしれません。
ファインマン 力学
有名なファインマン物理学の第1巻の力学。日本の課程に限らず、物理のカリキュラムでは最初に触れるのが力学ということで決まっている。ファインマンの力学は殊の外「読み物」的な特性が強く、文が豊富で数式が少なかった印象がある。
ファインマン物理学は有名だが、実用的な教科書としての観点からは必ずしもいいとは言えない。トピックは面白いが教科書として基礎的理解から応用的な計算技術に至るまでも理解するというよりは講義録であるし、ファインマンの講義はキレはいいが、物理の入門書としてこれではじめるのは苦しい。
藤原 物理学序論としての力学
トピックの教養の質の高さといい、扱っている内容としても、東京大学の教養の教科書「らしい」教科書である。全体的にはオススメできる教科書だが、いろいろ載っているだけに高校までで物理を学んでいなかったり、苦手意識がある人にとっては苦しいだろう。
ということで基礎および「入門」のジャンル分けに入ることが多い気がするし、また、解析力学の扱いなどを含めて考えればそう考えるのが妥当ではあるのだが、高校で扱う物理で手こずるような場合にはもっと易しい、内容を減らした本の方が楽だろう。
副島・杉山 力学
私が力学を始めた時に読んだ本(といっても当時は物理チャレンジの演習問題を解くことが先でゆとりをもって教科書の隅から隅まで読むというかんじではなかったのでその意味でちゃんと読んではいないのだが)である。わかりやすくて丁寧だった印象があるが、かといって、内容が薄いかというとそうでもないし、本としても厚みがあるので、これで入門するというのは大学で物理を学び始める全体から見ると上側の層になってくるだろう。
戸田 力学
新装版になって薄くて手軽になった。私が力学を始めた時に読んだ本の一冊で、こちらも副島・杉山と同程度の教科書という印象である。副島・杉山と読み比べて扱っている演習問題や「コーヒーブレイク」なる雑談トピックをどうみるか、といった違いか。
ここまで全体的に新しい本がないのは私が勉強したのがずいぶん過去になってしまったからである。新しい本でも質の高い本があるのでそれも余力があればレビューしたい。