https://www.youtube.com/watch?v=WQVtM7V1UV4
こんな実験があるわけでして、ただですね、これの原理は割りと勘違いされやすいものなので注意が必要なんですね。
たとえ話をしましょうか。
液体ではなくて、金属製の「チェーン」だったらどうなると思います?
太く長い、鉛直向きに立てた管の周りを綺麗に回りながら重なるようにして巻いていき、最後に、その筒の中にチェーンを入れてあげるようなイメージです。
摩擦がありますからすぐさま落ちるというわけではないかもしれませんが、ある程度チェーンを落としてあげれば自動で勝手にチェーンは落ちていきます。まるでサイフォンのように。
これだけでサイフォンとチェーンを同じというのは無理がありますが、実際の所同じです。
つまり、原動力は基本的には重力です。
チェーンと液体の違いは何でしょうか?
答えはチェーンは引っ張っても切れないで全体が引っ張られるが、液体は切れてしまう。つまり、端を引っ張っても恥だけが切れてしまうわけですね。なぜそうなるか、はともかくとして、切れてしまうわけですよ。
液体は押す分にはある一定体積より縮まない固体状の性質を持ってますが、引く分には固体とは違って容易に切れてしまうわけです。
だからチェーンの実験とは違って、普通に考えたら周りの液体を引き込んでどこまでも吸い上げるのは自明ではないわけです。サイフォンがチェーンの場合と違うのはこの点です。
よくサイフォンにおいて「大気圧に押されることで」という表現を見かけますが、大気圧の働きはこの引き込む部分です。
もし液体が管を登りきった分から先だけ少し落ちてしまったとすると、(管の出口側から何らかの理由で空気が入り込まない限り)その落ちた分と登りきる前の液体の境目までの間に真空ができますね。そうするとその真空を押して縮めようと大気圧が働きます。
というか、大気圧が意味を持って働くにはこのような「圧力に差がある場所」を用意してあげないといけません。吸盤も、わずかな隙間には空気があって、しかしその内と外が分離されていて、吸盤を引っ張ると内側の体積が幾らか膨張して、同時に(状態方程式に従って)気圧が下がり、その「圧力差」が動作機構です。
ここで「え?真空?そんなのないよ?」と思う方もいるでしょう。実際に真空の領域を作っているわけじゃないです。ここで真空ができることを話しに持ち出したのは「隙間ができずに落ちていく」ということを明示的に示したかったからで、ある種の背理法です。つまり、「隙間ができると真空ができることになってしまい、そんなことになれば圧力差で押しつぶされちゃってやっぱり隙間はできないよ」というだけで、隙間ができない以上は「真空」である必要もありません。ただし、大気圧がないとこの「押しつぶし」は起きないのでやっぱりサイフォンはうまくいかないのです。もう少しちゃんと見てあげましょう。
正確には液体も期待と同様に「圧力」が定義されるので、その意味を見てあげれば単純に「圧力差」が既にできているのです。そして、コップ程度であればその圧力差は大したものではなく、真空特有の事情は全く生じないわけです。すなわち、本気でその時間発展を追っかけるというならコップの表面とストローから出てこようとする液体表面とを一定の「大気圧」という境界条件を与え、Navier-Stokes equation(ナヴィエ・ストークス方程式:NS-eq.)を使えばその運動状態を予言できるわけですが、実際に時間発展を追うのは大変なことであるのと、抵抗をちゃんと考えるのは大変なのと、映像を見てわかるように、大体加速するのはわずかな時間で、あとは定常流になっていることを考えれば加速度の項はほとんど0となります。こういうことを使ってしまえば高さと圧力の間の方程式を導出できます(数式打ち込みにくいのでここではしませんが)。
NS-eq.まで持ち出して本格的に流体力学くさい感じが出てしまいましたが、私は流体力学はど素人です。
こんな実験があるわけでして、ただですね、これの原理は割りと勘違いされやすいものなので注意が必要なんですね。
たとえ話をしましょうか。
液体ではなくて、金属製の「チェーン」だったらどうなると思います?
太く長い、鉛直向きに立てた管の周りを綺麗に回りながら重なるようにして巻いていき、最後に、その筒の中にチェーンを入れてあげるようなイメージです。
摩擦がありますからすぐさま落ちるというわけではないかもしれませんが、ある程度チェーンを落としてあげれば自動で勝手にチェーンは落ちていきます。まるでサイフォンのように。
これだけでサイフォンとチェーンを同じというのは無理がありますが、実際の所同じです。
つまり、原動力は基本的には重力です。
チェーンと液体の違いは何でしょうか?
答えはチェーンは引っ張っても切れないで全体が引っ張られるが、液体は切れてしまう。つまり、端を引っ張っても恥だけが切れてしまうわけですね。なぜそうなるか、はともかくとして、切れてしまうわけですよ。
液体は押す分にはある一定体積より縮まない固体状の性質を持ってますが、引く分には固体とは違って容易に切れてしまうわけです。
だからチェーンの実験とは違って、普通に考えたら周りの液体を引き込んでどこまでも吸い上げるのは自明ではないわけです。サイフォンがチェーンの場合と違うのはこの点です。
よくサイフォンにおいて「大気圧に押されることで」という表現を見かけますが、大気圧の働きはこの引き込む部分です。
もし液体が管を登りきった分から先だけ少し落ちてしまったとすると、(管の出口側から何らかの理由で空気が入り込まない限り)その落ちた分と登りきる前の液体の境目までの間に真空ができますね。そうするとその真空を押して縮めようと大気圧が働きます。
というか、大気圧が意味を持って働くにはこのような「圧力に差がある場所」を用意してあげないといけません。吸盤も、わずかな隙間には空気があって、しかしその内と外が分離されていて、吸盤を引っ張ると内側の体積が幾らか膨張して、同時に(状態方程式に従って)気圧が下がり、その「圧力差」が動作機構です。
ここで「え?真空?そんなのないよ?」と思う方もいるでしょう。実際に真空の領域を作っているわけじゃないです。ここで真空ができることを話しに持ち出したのは「隙間ができずに落ちていく」ということを明示的に示したかったからで、ある種の背理法です。つまり、「隙間ができると真空ができることになってしまい、そんなことになれば圧力差で押しつぶされちゃってやっぱり隙間はできないよ」というだけで、隙間ができない以上は「真空」である必要もありません。ただし、大気圧がないとこの「押しつぶし」は起きないのでやっぱりサイフォンはうまくいかないのです。もう少しちゃんと見てあげましょう。
正確には液体も期待と同様に「圧力」が定義されるので、その意味を見てあげれば単純に「圧力差」が既にできているのです。そして、コップ程度であればその圧力差は大したものではなく、真空特有の事情は全く生じないわけです。すなわち、本気でその時間発展を追っかけるというならコップの表面とストローから出てこようとする液体表面とを一定の「大気圧」という境界条件を与え、Navier-Stokes equation(ナヴィエ・ストークス方程式:NS-eq.)を使えばその運動状態を予言できるわけですが、実際に時間発展を追うのは大変なことであるのと、抵抗をちゃんと考えるのは大変なのと、映像を見てわかるように、大体加速するのはわずかな時間で、あとは定常流になっていることを考えれば加速度の項はほとんど0となります。こういうことを使ってしまえば高さと圧力の間の方程式を導出できます(数式打ち込みにくいのでここではしませんが)。
NS-eq.まで持ち出して本格的に流体力学くさい感じが出てしまいましたが、私は流体力学はど素人です。