2018年にSIの定義が変更される予定です。

と言ってもなんじゃそれ?
そんなん、なんのこと?

と思うかもしれませんね。

じゃあ、こう言いましょうか。

「1kgの定義が変わります」

はい。1kgの定義が変更されるのです。それだけじゃないです。

「1℃の定義が変更されます」

ええ、いろいろ変わります。
http://www.bipm.org/en/measurement-units/new-si/

どうかわるのでしょうか
ーーーーーーーーーーーーーー
秒 (s) は時間の単位であり、その大きさは、単位 s-1(Hzに等しい)による表現で、基底状態で温度が0ケルビンのセシウム133原子の超微細構造の周波数の数値を正確に 9192631770 に固定することで示される。

メートル (m) は長さの単位であり、その大きさは、単位 m·s-1 による表現で、真空中の光速度の数値を正確に 299792458 に固定することで示される。

キログラム (kg) は質量の単位であり、その大きさは、単位 s-1·m2·kg(J·s に等しい)による表現で、プランク定数の数値を正確に 6.62606957×10-34 に固定することで示される。

アンペア (A) は電流の単位であり、その大きさは、単位 A·s(Cに等しい)による表現で、電気素量の数値を正確に1.602176565×10-19に固定することで示される。

ケルビン (K) は熱力学温度の単位であり、その大きさは、単位 s-2·m2·kg K-1(J·K-1 に等しい)による表現で、ボルツマン定数の数値を 1.3806488×10-23 に固定することで示される。

モル (mol) は物質量の単位であり、その大きさは、単位 mol-1 による表現で、アボガドロ定数の数値を 6.02214129×1023 に固定することで示される。

カンデラ (cd) は光度の単位であり、その大きさは、単位 s3·m-2·kg-1·cd·sr または cd·sr·W-1(lm·W-1 に等しい)による表現で、周波数 540×1012 Hz の単色光の発光効率の数値を 683 に固定することで示される。
ーーーーーーーーーーーーーー

どうでしょう?
ほとんどのそれがよくわからないものになっているのではないですか?
現行の定義と実際上変更を受けないものもあります。
まず、
秒は現在の定義から変更されません。
次に、メートルも光速度を定義値にしているので、現在の定義と同じです。(従ってわかるように、現行定義も日常的に理解できるものではないのですね)

大きい変化はkgですね。
よりにもよって「プランク定数」で決まるというなんかすごいことになってますね。
プランク定数って、どんなものなのでしょうか。

答えは「ドブロイ波」などを調べてください。
あるいはシュレディンガー方程式にも出てくる、量子論特有の定数なわけです。
でも、ここまででの議論でもそうですが、自然定数の値でなんで単位が決まるのでしょう。

まず、秒から考えます。
これは単純に言えばある種の振動現象を見て、その回数を数えましょう、その回数が...回になったらそれを「1秒」と呼びましょう。というルールなので、わりとイメージはつきやすいと思います。
例えて言うなら、うまいルールで作った、一定振動数のメトロノームの振動回数を観測して決めるということですね。

メートルは、次に、光が1秒の間に移動する距離を...倍したもの、という形で決めます。
まあだから、1秒を決めれれば、その間だけ光を伝えてその移動距離を測りとって...ということになるわけで、まあそんなのできるの?って思う方も多いでしょうけど、そんなに難しい話でもないので、まあやるわけですよ。

ここまでは容易に分かりますが、プランク定数と質量を結びつけるのはイマイチわかりづらいと思います。
突然ですが、光というのは粒子的な性質を持っています。
これは「光電効果」と呼ばれるような実験をすると明らかになるのですが、光電効果を見るときなどに現れる、光の粒子的な性質では、光の一粒が持つエネルギーはプランク定数x振動数、ということになります。振動数は波長と対応付けて導けるので決して難しいものではなく、光子のエネルギーと振動数を結びつけるわけですが、まだエネルギーの単位を決めていませんね!

そう、ここでエネルギーの単位を決めるときに、E=hνとして、エネルギーの単位を決めるときに、hの値を決定するのです。

そして、アインシュタインの有名な公式E=mc^2を思い出すと、Eとmの対応がつくので、まあうまくいくわけです。

騙されているのか、はたまた何だかわからないというか、そういう印象でしょうね。

E=hνもE=mc^2も馴染みないでしょうし。

実は物理屋はこの法則は絶対正しいと信じているわけです。
まあ、適用条件はどんな法則にもあるわけですが、かなり広範囲に、かなり高い精度で成立が示されていて、古いSI定義で生ずるkgの誤差よりも誤差が小さいようになるのです。

アンペアは電流を流すと電荷が移動するということと対応付ける高校の教科書のお話に近づきました。

物理法則の正しさ
というのは、単位の定義の範囲を上回るということが今回の改定にあるわけです。