相対性理論の結論の一つとして、質量とエネルギーの関係性や運動量との関係性は実験を介して核反応等の形であらわにその法則が物質の本性によるものであることがみえてくる、と同時に、本来そのようなミクロな構造そのものを探求する法則として「量子力学」が作られる。

量子力学と相対性理論の統合は量子力学創設当初から開始され、「クラインゴルドン方程式」ならびに「ディラック方程式」の二つの方程式が日の目をみることになる。

ニュートン力学ではエネルギーについて定数を足す自由がある、ということは前回一応触れたと思うが、その定数が「E=mc^2」なのであって、本当はさらに1/2mv^2がその次に、そしてさらにもっと続く。相対性理論が正しい場合、運動量をpと表示すると(ただしこのpはニュートン力学のpと極限的にしか一致しない)

E^2=m^2c^4+p^2c^2

という格好をしている。ところで古典力学ではいくつもの物理量の直接的な数値がそのもの対象とするものの特徴を表し、それでもって対象とするものを完全に追尾できるとする立場だが、量子力学ではEとpについてそれを微分演算子に置き換え、微分する関数を波動関数、ということにし、その波動関数から欲しい情報を取り出すことができる、したがって、対象物に当たるものの情報は波動関数という関数の形で収納されているという考え方になる。

クラインゴルドン方程式というのは、シュレディンガー方程式で行うような微分演算子と物理量の「対応付け」を相対論でも、上に書いた式に愚直にやってしまおう、という方程式である。

まず全部左辺に移項して
E^2-p^2c^2-m^2c^4=0
とし、E=ih/2π ∂/∂t 、p=-ih/2π ∇という置き換えを行う(この時hはプランク定数)ことで、

(-h^2/4π^2c^2 ∂^2/∂t^2 +h^2/4π^2 ∇^2-m^2c^2)ψ=0

という関係を得られる。
これがクラインゴルドン方程式(通常はhではなくてhbarを用いるが、ここでのタイプ方法を知らないのと、というか物理の業界ではそのhbarと光速度cを1とする「自然単位系」を用いるので本当はこんなめんどくさい表示をしたりはしない)だ。

クラインゴルドン方程式はスピン0粒子を表すことが知られている。
つまり、クラインゴルドン方程式の解はスピン0粒子の存在する状態を普遍的に記述でき、外的な影響によって粒子が生成したり消滅したりする状態というのも、クラインゴルドン方程式の解を用いてそう言った外的影響がどう効いてくるかを見てあげることで表示でき、それは現実と対応をつけられるのである。

なお、クラインゴルドン方程式やディラック方程式の詳細に興味があればハイエンドな量子力学の教科書や場の量子論の教科書、相対論的量子力学の教科書を当たれば学ぶことができる。

ということで、本の紹介を。
場の量子論: 不変性と自由場を中心にして (量子力学選書)/裳華房

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わかりやすくきれいにまとまっている本という印象。

An Introduction To Quantum Field Theory (Fronti.../Westview Press

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場の量子論では最もよく使われている本。個人的にはformalismがあまり好きではない。あと、英語というのが難。だけど式変形とか論理展開をちゃんと追跡しながらゼミとかでそこそこ集まって勉強できればいい本。

この辺りはどうしても手で追うには結構めんどくさい議論が多いのですが、そこから逃げずにどこまで取り組めるか、というところがある気がする。