「 雅紀いってらっしゃい頑張ってね 」
「 ありがとういってきます 」
少し離れた所で降ろしてもらった 手を振って僕は職場に向かう
ふわふわ
翔ちゃんかっこいいな
まだ夢を見ているみたい
1日で僕の生活は灰色からう〜ん?オレンジ?とにかく明るい色に変わってしまった
「 あれ〜?今日はチャリじゃないんだ 」
ロッカーで同僚に聞かれた 悪気はないし僕がチャリで来ようが興味ない 挨拶の延長みたいな事だって分かってる
けど
やっぱり離れた所で正解だったな 翔ちゃんを他の人に見せたくない。きっとあれこれ聞かれるのが目に見えてる
僕はプライベートの話をしたくない 必要最低限の会話しかしたくない
「 お疲れ様です 」
作り笑顔で何にも答えずにその場を離れた
この仕事のいい所はひとりで出来る事だ 煩わしい人間関係もトラブルさえ起きなければほとんどない
天候に左右される事はあっても自分のペースで早く終われば早く帰れる
「 終わる時に連絡してね迎えに行くよ 」
翔ちゃんは言ってくれたけど甘えられないもん でも…うれしいな
お昼に食べたお弁当
普通のお弁当だったけどおにぎりは翔ちゃんが好きなおかかだよ。きっともぐもぐ美味しそうに食べてくれたよね 翔ちゃんの事を考えたら笑顔になっちゃう
いつもより早く終わったからお買い物へ行って翔ちゃんの好きな物を作りたいな 浮かれ気分を抑えながら着替えていた
「 今から飯行かない? 」
「 今日は遠慮しますお疲れ様でした 」
即答した僕に同僚が何か言っていたけど耳に入らない
翔ちゃんに連絡しないでそのまま歩き出した
「 雅紀迎えに来たよ♡」
えっ
朝、手を振って別れた所で眩しい笑顔の翔ちゃんが待っていてくれた 咄嗟に知り合いが居ないか見回して車に乗った
「 翔ちゃんどうして? 」
「 早く雅紀に会いたくて 」
うれしい
「 買い物して帰ろっか 」
「 うん 」
柔らかなオレンジ色の夕日が優しくかかり そっと手を繋いだ
しあわせすぎて
泣きそうだよ

