my story vol.21 妹👼
お見合い騒動にうんざりして、母の実家で一人暮らしをした時期がある
築70年の古民家にひとりである
が、祐吉には最強のパートナーが存在した
小柴という犬種だが、祐吉にとって大親友でありパートナーであり守り神であり姉のような母のような・・・かけがえのない存在だった
夜中に、どこかでガタッと音がして、ぶるぶる震えるビビリの祐吉を横目に、
彼女はすやすやと、祐吉のベッドのど真ん中に悠々とお休みになられていた
冬は、暖房なしの角部屋で、そのほのかな暖かさが身に染みた
インフルエンザで高熱を出し、トイレで同時に2回も脳震とうを起こした時も、
異変を察知し窓の外に向かって吠え続けてくれた
祐吉は、この世のものとは思えない美しい楽器の音色に包まれ、幸せな気持ちで目が覚めた
その目線の先には・・・古民家のトイレの手洗いの配管・・・彼女の吠える声で目が覚めなければ、あの極寒の小部屋で、帰らぬ人だったかもしれない
ほぼ毎日車で一緒に県を跨ぎ、彼女はじっと座っていられず、後部座席でサーファーのように体幹を鍛える日々を送っていた
彼女のお父さんは、祐吉の長兄である
義理の姉に相談なしにペットショップから連れ帰り、しばらくしてから実家に引き取られた
新築の自宅の壁に器用に大きな穴を掘ったからである
実家に住んでいた祐吉にとって、犬と過ごす生活は7歳の時から続いていた
祐吉が、ペット飼育不可のマンションに引っ越すために家を出た時は、毎日ガラス張りのドア越しに後を追って一緒に帰ろうとする姿を今でも思い出してはうるうるしてしまう
彼女がいたから、お仕事も続けられたし、1人暮らし?だって出来た
祐吉のことを誰より理解し、誰より長くそばにいてくれたかけがえのない存在
股関節の手術後、外で仕事も出来ずに鬱々し引きこもりがちだった時も、
毎朝、一緒に近くの川へ散歩に出掛けていた
土砂降りでも雪でも無理矢理連れ出していたことは、悪かったと思っている
そんなことをしてくれるのは彼女しかいないと思う
結婚を後押ししてくれたのも彼女である
天国に召された今でも、大大大好きである
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