静かに沼の水面が揺れている

切り立つ崖に生い茂る木の枝

 

月影さやかに映し出される水

さざ波が立つほどの風の戦ぎ

 

妖しい仄暗い闇の向こうから

何ものかが蠢いて囁いている

 

幻聴だろうか幻視だろうかと

疑うほど猜疑心が募っていく

 

怖ろしいほどの静謐さの中で

ひたひたと沼の畔に水を打つ

 

流れているのは時の移ろいか

闇の向こうから動きが消えた

 

月が雲に飲み込まれて暗転し

沼は黒い闇に溶け込んでいく