見晴るかす山の風景は霞んでいる

遥かなる道行きの疲れを癒すべく

ふと眼前に現れた茶屋でひと休み

 

思い思いの旅人の世間話に耳傾け

茶を啜りながら頷き言葉を返した

現し世の人との偶然の出会いの旅

 

江戸の世へと時の隧道を潜り抜け

我が遥かなる道行きは峠の茶屋へ

ゆくりなく差し掛かったのである

 

はてさて面妖な事があるもんだと

外国の艦船が港に来て国を開けと

青い目の異人が脅してるという話

 

私らにはとんと関係のない話じゃ

異人様など話す言葉も違ってらあ

幕府の要人は言葉が通じるのかね

 

様々にとりなす御用の事態を巡り

世間話は無責任の限りを尽くして

話に花を咲かせるのでありました