翔side

 

待ち合わせの五分前についたはずなのに

じゅんはもうそこに佇んでスマホを見ている

 

気配を感じたのか

 

顔を上げ俺を見つけると

パッと花が咲いたような笑顔を見せた

 

その笑顔がすげぇ可愛くて一瞬時が止まった

…気がした

 

昨日の笑顔とはまるで違う

 

どっちが本当の…じゅんなんだろうか

 

そんな事を考える間もなく

じゅんの元へとたどり着いてしまった

 

「おはよ…待った?」

「ううん…今来たとこ」

 

「そっか…じゃ…いこっか」

「うんっ」

 

ふわりと笑顔を浮かべたまま

俺たちは歩き出した

 

「なぁじゅん」

「ん?」

 

「あれからすぐ寝れた?」

「う…ん…すぐ寝たかな…しょうくんは?」

 

「俺は…ちょっと寝れなかった」

「えっ?そうなの?…あ…それなら時間遅くしてもよかったのに…」

 

「ふっ大丈夫…そこまで遅く起きてねぇし」

「…そう?」

 

心配そうに眉を下げて俺を見つめる

 

「あぁ…ありがとな」

「うん…」

 

「じゅんのそういう優しいとこ好き…」

「へ?」

 

「あ…いや…」

 

やべ…心の声が…洩れた

 

「ごめ…」

「…んん…」

 

微かに髪を揺らして俯く横顔は

ほんのりと頬を染めていた