潤side

 

「これ観てみたいかも…」

 

スマホを返すと

俯く理由がなくなって顔を上げると

 

「っ…」

 

すごく…優しい目をした

しょうくんがいて

 

思わず息を飲んだ

  

見つめ合って

動けなくなって

 

多分ほんの数秒だったと思う

 

「あ…」

 

ハッとしたようにしょうくんが息を吐き

 

鼻筋を指で掻いて

スマホを受取った

 

「じゃ…観に行こうか…」

「うん…」

 

二人の間に流れるのは

静かな時間

 

ん…これが俺たちらしい

 

これでいいんだ

このままで…

 

さっきまで叶わない恋に泣いていた自分が

嘘みたい穏やかな気持ちに戻った

 

「お昼に美味いの食べてさ」

「うんっ」

 

「…まぁ…あれだな」



「え?うふふっなに?」

 

そう言って

また鼻筋を指で掻いて

 

「じゅんの弁当が一番美味いって言おうとしたけど…なんか急に恥ずかしくなった」

 

早口で話すしょうくんの頬が

少し赤くなっていてる

 

あ…なんか可愛い…うふふ

 

「ありがと…そう言ってもらえると作りがいがあるよ…」


「いつもありがとな…じゅん」

「うん…」