潤side

 

「しょうくん?」

 

じっと俺を見る

その表情はいつもと違って見えた

 

泣いていたのバレないか

心配だったけど

 

いつも通りの俺を見て欲しくて

視線を逸らすことなく

 

見つめ合って数秒

 

しょうくんは変わらず何も言わない

 

「相葉さん…帰ろっか」

「あ…うん…それ言いに来たんだった」

 

止まった空気が動いたのは

にのと相葉先輩の声で

 

「じゃ…ね潤ちゃん…翔ちゃん」

「…あ…あぁ」

 

ふたりの背中を見送ったあと

さっきまでにのが座っていた席に座った

 

「どうした?」

 

「ん?」

「あ…いや…悩み事?」

 

「なやみごと…かな…」

 

しょうくんのことだよ…だなんて

言えるわけもなくて

 

言葉を濁した

 

「そっか…」

「うん…」

 

だけど

 

「俺に相談できないこと?」

「え…」

 

いつになくしょうくんの目は真剣だった

 

「俺じゃダメか?」

「しょう…くん」

 

『違うっ』

心の中で叫んでも

 

当たり前だけどしょうくんには届かなくて

 

「にのの方がいい?」

「そんなことないっ」

 

質問の答えとは違うってわかっていても

その言葉に心が激しく反応して

 

つい声が荒がった


「ごめ…ん大きな声出して」

「おれこそ…ごめん…でもなにかあったら相談に乗るからな?」

 

「うん…ありがと」