翔side

 

「…塞がちゃったね…ここ」

 

心地よい気怠さにベットに寝転んで目を閉じていると不意に耳朶を触られて

 

「ん…擽ってぇ」

「うふふ」

 

身を捩ると胸元に抱きしめていた潤が


さっきまでの妖艶な姿が嘘みたいな

可憐な笑顔を見せた

 

…可愛いな…お前

 

髪を梳くと今度はじゅんが目を閉じて

また胸元で丸くなった

 

柔らかい髪を指に絡ませて

どれくらい時間が過ぎたのか…

 

「…どうしたの?」

「ん?あぁ…お前がピアス開けたいって言ってた頃思い出してた」

 

「え…うふふっそんな昔のことを?」

 

「運命変えたいってお前泣いてたよな…」

「うん…そうだったね」

 

俺より少し身長も伸びて

あの頃より断然に綺麗になったけど

 

「開けなくて良かった」

 

くふふって嬉し恥ずかしそうに見上げる

あどけない笑顔は今も変わらない

 

「運命だったんだよね?記憶無くしても翔くんに恋をして…またこうして過ごしてるなんて」

「そうだな…」

 

悲しみも寂しさも全て乗り越えて

またお前と歩いているなんて

 

奇跡…いや…

潤の言う通り運命なのかもしれない

 

「三回も好きになるって…運命じゃない?」

「三回?二回じゃなくて?」

 

「三回だよ?」

 

大きな瞳はほんと昔のまんま

きょとんとして俺を見つめる

 

「出会った時…記憶がなくなった時…そして今…ね?三回でしょ?」

「ふは…っ…そっか…」

 

「…だから…うん…塞がったままがいい…」

 

「もう運命変えられないもんな?もう二度と」

「うん…」

 

出逢うべくして出逢ったのが運命とするなら

 

潤と愛し合うのも

最高な仲間に出会えたことも

 

運命…なのか…

 

そんな俺の運命…最高じゃないか

 

「ふはっ…寝てるし」

 

俺たちの長い…長い物語の

始まりの時を思い出した夜だった

 


~完~


『Days』より