翔side

 

その瞳が

すごく寂しそうで

 

『それが出来るならすっと前からそうしてる…でも…出来ないんだもんっ』

 

そう呟く声さえ…

寂しさを越して悲しみに包まれている

 

ぐっと引き寄せ座らせると

両手で涙で濡れる頬を包み

 

視線を絡ませた

 

『好きだよ…潤』


『ほんと…に?』

『あぁ…ずっと…お前の事が好きだった』


『うぅ…ふぇ…』

 

やっと…気持ち伝わったか…

 

その事にほっとして

手の平にいくつもの温かい涙を吸い込んだ

 

この涙が潤の気持ち全てだって

わかっているのに…

 

なんでだろ…


『まだ…ピアス開けたいか?運命ってやつ変えたいか?』 


こんな聞き方…ほんと俺ってずるいよな


『…開けない…変えたくない…っ』

 

そう答えてくれる事

分かっているのに…

 

瞳に強い光を蓄えてふるふる頭を振った

 

『外で手をつなぐことだってできない』

『う…ん』

 

『俺たちの事誰にも知られてはいけない』

『…ん』

 

『ふたりの秘密…だ』

『っ…ぅん』

 

ひとつひとつの問いかけに

小さく頷いて

 

じっと俺の目を見つめるこの純粋な瞳に

俺の覚悟は決まったんだ

 

『その覚悟があるなら…』

『あるっいっぱいある…っ』

 

『俺と…付き合って?』

『うんっ…はい…』

 

涙でぐちゃぐちゃな顔で健気に笑う


そんなじゅんの事が

愛しいと思った

 

『ふっ…良かった…あぁまた泣くし…』

『だって…こんな…嬉しすぎて勝手に出てきちゃうんだもん』

 

泣き笑いする潤に


唇を

そっと重ねた