潤side


「…みてもいい…?」

「ん…いいよ?」


「ありがと…」

 

コートもスーツも脱がず

俺の隣に腰を下ろし

 

ゆっくりと表紙を開くのを見ていた

 

「ふっ…『大人なじゅんへ』だって」

「ふふ…」

 

初めは日付も無くて

 

病院で初めて会った時

涙を拭いてくれる仕草で翔くんだと気がついた

 

一緒にこの部屋に帰って来た事

その日の夜にコンビニでいろいろ買ってくれた

 

初めてベットで一人で眠る時

翔くんの香りがして安心して熟睡できた

 

しょうくんが作ってくれたおにぎりは


三角でも丸でもなく面白い形をしていて

少ししょっぱかったけどすごく美味しかった

 

過ごしてきた時間の些細なことが

箇条書き程度の言葉で埋め尽くされている

 

「ふはっこんなことまで書いてたんだ…」

「うん…そう…みたい」

 

いつもしょうくんは優しかった

 

髪を撫でてくれる手が大きくて優しくて

目が合うとドキドキして

 

ずっとこのどきどきってなんだろ…

って思ってた


でもすぐ気づいた…よ


ぼくは…

 

『しょうくんのことが好きなんだって』

 

「…っふ…そっか…」

「ん…」

 

その文字を

すごく愛おしそうに見つめる横顔に


涙が出そうになった