翔side

 

腕の中でじゅんか身じろぎ

力を弱めると

 

涙に濡れたままの瞳を見せた

 

「あぁも…こんなに泣いて…」

 

目尻に残っている涙を指で掬うと

 

「しょうくんも…でしょ?」

 

同じように目元を指でなぞり

 

そして

二人目を合わせて笑い合った

 

「ほんとに…強くなったな…じゅん」

「えへへっ…しょうくんからいっぱい教えてもらったから…」

 

屈託なない笑顔で

 

「しょうくんと出会えて…良かった…」

 

そんな事言われたら

止まったはずの涙が溢れてしまう

 

だけど俺もちゃんと伝えなくては…

 

「俺もだよ?じゅんと出会えてよかった…」

「しょうく…っ」

 

泣き笑いするじゅんを

ぎゅっと力いっぱい抱きしめると

 

くふふっと可愛らしい笑い声をあげ

身体を捩り

 

膝の上に頭を置いてあどけない笑顔で

俺を見上げた

 

「ねっ…あの話の続きして?」

「あの話?」

 

「しょうくんが覚えているぼくたちのお話を聞きながら今日は眠りたいな」

「あぁ…そうだな…」

 

柔らかい髪に指を絡ませ

時折

優しく撫でながら

 

子守歌を歌いきかせるように

温かくて優しい俺たちの物語を語った