翔side

 

「じゅん…朝だぞ?」

 

目覚ましが鳴り

 

隣ですやすやと寝息をたてるじゅんの肩を

軽く揺すると

 

パチッと目を開けた

 

「んん…おはよっ」

「おはよすぐ起きすなんて珍しい…」

 

「みんなが起きる前に戻らなきゃだもん」

 

えへへって笑って

 

ベットから抜け出して

髪を撫でつけ寝癖を直して

 

部屋から出ていこうとする

後ろ姿を見つめていた

 

「しょうくん…」

「どうした?」


「ううん…何でもないただ名前を呼んでみたかっただけ」


振り返えると名前を呼び


じゃ…いくね?

 

ふわりとした笑みを残して

ドアに手をかけた

 

「じゅん…」

 

このドアを抜けたら

きっと

俺に向ける笑顔とは違う顔して笑うんだろ?

 

ずっと見てきたんだ


完璧なまで潤でいてスタッフ誰もが

気がついていないって事を

 

「なぁに?」

「いや…名前を呼びたかっただけ」

 

「うふふっ」

 

なんか恥ずかしい事言い合ってるな…

俺たち

 

ほんの数時間

 

やっと一緒にいることが出来たからか

 

シーツに残る温もりが

あと数分もすれば消えてしまうのを

知っているからか…

 

じゅんの涙も

じゅんの言葉も

 

抱きつくように眠りについたじゅんも

 

儚くて

 

透明でいて…

 

壊れやすいガラス細工みたいに

危うくて…

 

このまま消えてしまうんじゃないかと

思うほど

 

そんな事はないのも知っている

すぐ…会えるんだから

 

一緒に帰って…

 

あの部屋でまた

思いっきり甘えさせてあげたい

 

そして

 

抱き合うんだ

 

な?じゅん…

 

「またあとでな」

「うんっまたあとで」

 

そうだ…海…

 

いつ行こうか

 

パタンとドアが閉まってから

ベットから抜け出し

 

手帳を開いた