翔side

 
涙も愛しい気持ちも共有できたこの夜も
きっと

この先意味を持つだろう…
 

「おれも…じゅんが好きだなぁって思ったら出ちゃったんだ」

 

そう言うと


嬉しそうに恥ずかしそうに笑うじゅんに

鼻先を擦り合わせれば

 

今度は「擽ったいよぉ」って

泣き笑いしている

 

「ふふっ擽ったかったかぁ」

「うん…でも…嬉しい」

 

「えへへっお返しっ」

 

今度はじゅんも同じように

鼻先を合わせてくれた

 

なんでも真似をしたがるじゅん

真っすぐに俺の言葉を信じるじゅん

 

純真な気持ちを教えてくれるじゅん

 

どれも本当のじゅんで

今の潤と何も変わらない

 

ただ…大人になって…

一人考えて…

抱え込んでしまっただけ…

 

 

「しょうくん?」

「ん?あぁごめんちょっと考え事してた…どうした?眠たくなったか?」


「ううん…あのさ…大人のぼくって…あっやっぱりいい何も聞かない…」

「じゅん?」

 

背中に回した指先にぎゅっと力が入り

引き寄せられると胸元におでこをくっつけた

 

これだと呼吸するのが苦しいだろうからと

そっと抱えたまま横に寝転んでも

 

顔を隠したまま

少しの時間が流れた