翔side

 
拭いきれなかった涙を頬に残し
ゆっくりと顔をあげた
 
「…ごめん…なさい…」
 
「ん?なんで謝るの?」
「…だって…」
 
「冷たい飲み物持ってくるから…な?」
 
気持ちが落ちくように…

潤の好きな飲み物を持って来ようとベットを降りると呼び止められた
 
「しょうく…」
「なに?」
 
「ぼくもいく…一人は淋しもん…」
 
「いいよ…ほら…手」
「へへっ…うんっ」
 
泣いていたことが嘘みたいに
いつもと変わらないあどけない笑顔が戻った
 
よかった…
 
手を繋ぐ…
傍にいる…
 
それだけでお前の心を癒すことが
今の俺に
出来ているとしたらと思うと嬉しくて
 
同時に
 
あの時…
俺は潤にとってそんな存在であったのかと
不安になった
 
「しょうくん?」
 
潤の声にハッと我に返ると
立ち尽くし不安そうに俺を見ていた
 
「ん?あぁ…なんでもない顔洗っておいで?」
「…う…ん」
 
ダメだな…
潤にあんな顔させちゃ…
 
偽りのない愛しさなはずなのに
潤の笑顔を壊したくない…と

記憶を無くした理由を隠して過ごしている今は偽っていることにならないのか?
 
迷うな…俺…
 
今も…この時も…
間違いなく愛しているんだ

そして

今も…あの時も
愛されているんだ…俺は