翔side

 

「こっちに…頭倒して?」

 

俺の膝に頭を乗せ横たわらせると

大きな瞳が俺を見上げた

 

「ん?寝づらい?」

「ううん…」

 

「少しだけ…目閉じて寝ていいよ…まだ時間はあるから」

「…うん…」

 

素直に目を閉じる潤の頭を撫でると

俺の方が落ち着いていく

 

何が潤の記憶の扉を抉じ開けようとしたのか…

それは潤にしかわからない事で

 

今は話を聞くより

気持ちが落ちくように…と

 

そうすれば今の頭の痛みは取れるはずだから

 

痛みに寄り添いたい気持ちが

柔らかい髪を通して伝わります様に…

 

そんな思いで手を動かしていると

 

「しょう…くん…」

 

ゆっくりと目を開けて俺を見つめた

 

「ん?どうした?」

「…しょうくんの…手…あったかい…」

 

「そっか?体温高いからなぁ…俺」

「ふふっ…うん…あったかくて…優しくて…気持ちいい…よ?」

 

「…それは良かった…少しは落ち着いたか?」

「うん…大丈夫…」

 

「でも…もう少しこうしてて?」

 

くりっくりとした大きな瞳で恥ずかしそうに

見上げるその顔は

痛みが取れたのか穏やかな表情をしていた

  

「いいよ…」

「でも…重くない?」

 

「全然…」

「ふふふ…ありがと…」

 

素直に甘える潤が愛しくて

触れることが出来る今が愛しくて

 

静かな時間が過ぎていった