翔side

  

辿り着いたのは

町はずれの小さな教会だった

 

「迎えに行った時言った言葉覚えてるか?」

「…覚えて…る…でも…え?」

 

小さなドアを三回ノックすると中から

フワァ~ンと気持のいい音が聞こえた

 

「じゅん手ここな?」

「えっあ…いや…待って…な…」

 

無理やり手を組んでドアを開けると

 

二宮くんが小さなパイプオルガンを弾いていて

 

「かず…?え?なんでここに?てか先生も…」

 

真正面には大野先生がにこやかに立って

雅紀が参列席で涙目でこっちを見ていた

 

「あっ…相葉先輩も…しょうく…んこれって…」

「俺たちの結婚式だよ…」

 

「うっそ…だって…」

「ほら…前見て…行くぞ?」

 

バージンロードをゆっくりと歩き


うそ…うそだよ…だって…と呟く涙声が


歩みを進めると

うっ…と涙を我慢している声に変わり

 

立ち止まると嗚咽に変わってた

 

「久しぶりだね…まつもとくんおめでと…」

「せん…せ…」

 

「難しい言葉分かんねぇから簡単にな?」

 

照れくさそうに笑い真っすぐ俺達を見つめた

 

「櫻井翔…あなたは松本潤を一生愛することを誓いますか?」

「誓います」

 

「では…松本潤あなたは櫻井翔を一生愛することを誓いますか?

 

ぐすっぐすっと泣きじゃくる潤の涙を指で拭うと戸惑いに濡れた瞳が俺を見つめた

 

「じゅん…誓ってくれるか?もう二度悲しませることしないから…傍にいて欲しい」

 

うんと頷いて自分の指で一度涙を拭うと

前を向いた

 

「はい…ちかいま…す」

 

「でわ…指輪の交換を…」

 

白くて細い長い指に

シンプルな銀色指輪を通した

 

ぴったりとはまった指輪を見てまた涙を溢し

震える指で俺の指に指輪をはめてくれた

 

「しょうくん…おれどう…しよ…こんなに幸せでいいの?」

「もっとだよ?この先もずっと…」

 

恋に戸惑い迷っていた俺に踏み出す勇気と

恋すること許してくれた初めての人

 

いつも明るく

前を向く事を教えてくれた友

 

離れている間潤に寄り添ってくれていた

優しい友

 

その人たちの前で誓いたかった

もう二度と悲しませることはしない

 

この先潤の笑顔は俺が守っていくと

 

「最後に誓いのキスを…」

 

涙でぐちゃぐちゃな顔を上げ

俺たちの顔が吸い寄せられるように重なった

 

「「「おめでとう」」」

 

俺たちはこんな優しい人たちに

見守られているんだって


見せてあげたかった

 

手を繋ぎ

教会をあとにしようとドアを開けると

 

「「おめでとうございますっ」」

「「congratulation」」

 

「お前たち…」

「水臭いですよ」

 

俺と雅紀が立ち上げた会社の社員が全員

笑顔で迎えてくれていた

 

「おれが呼んだの」

 

後を歩いていた雅紀の優しい声と思いもしなかった祝福してくれる人たちの笑顔に

 

我慢しようとしていた涙が一筋頬を濡らした

 

ぎゅっと繋いでいた手に力が入り潤を見ると

止まったはずの涙で頬を濡らしながら

 

微笑んでいた

 

これからも幸せな日々をキミに送るから

永遠に…

~完~