翔side

 

「…よし…終わった…あっ」

 

いつの間にか

 

「じゅん…」

 

部屋に射し込む日差しの中で猫のように丸まって寝ていた

 

起こすために近づいたのに

 

「…じゅん…風邪ひくぞ?」

 

何故か起こさないようにと

静かに話しかけてしまう

 

それはその寝顔が穏やかで

もう少しだけ見ていたいと思ったから

 

こうして体温を感じるほど近くにいたいと

 

「…いっぱい洗ってくれたんだな…」

 

ベランダで色違いの毛布が仲良く揺れている


これを見た時お前は…何を思っただろうか

 

「…ん…しょく…ん?」

「おはよ」

 

「…お仕事終わった?」

 

ゆっくりと起き上がると

 

「あぁ…終わったよ」

「ふふっそっかぁ」

 

「買い物いくか?」

「うんっ」

 

俺は久しぶりに服でも買いに連れていこうと

思っていたのに


『夕飯の買い出しに行きたい』と

俺たちは少し間を開けて歩いていた

 

『ね…僕何か作ろうかな…』

『ん?何か作ってくれるのか?』

 

『うん…いい?』

『あぁ…楽しみだな…』

 

『美味しくできるかわからないけど』

 

美味いよ…お前の料理はどれもこれも

 

その道の途中で通る小さな公園の前で

自然と足が止まった


歩いて通るの久しぶりだな…

 

「…ここ…」

「気がつかなかっただろ?いつも車で通りすぎるだけだもんな」

 

「ここ…春になったら…桜咲く?」

「そうだな…咲く…かな…」

 

今は緑で覆われた木には春になるとピンクの花が咲きほこる


それをこっそり夜中に見に来るのを俺達は

毎年楽しみにしていた

 

「…中通っていくか?」

 

言葉なく頷く潤と思い出の中に歩きはじめた