潤side

 

「ふぅ~食べたな…」

「うん、食べた、どれも美味しかったぁ」

 

多すぎるかなと思ったテーブルに並べられた料理は、会話をしながらも残らずお腹の中に入っていった

 

「しょうくんお酒まだ飲む?」

「潤は?」

 

「ん…翔くんが飲むならもう少しだけ飲もうかな」

 

食べ終えた容器を片してると、使った食器をシンクに持って来てくれた

 

「ありがとっ」

「どういたしまして」

 

このさり気ない優しさが好きなんだよな…

 

「あっ酔っちゃう前に剥いておこうかな…りんご」

「ん?剥いてくれんの?」


「ふふっ翔くん剥けないでしょ?俺も翔くんが包丁持ってるの心配だしぃ?」

「まあな…じゃあ俺、酒用意しおくから」

 

真っ赤なリンゴの皮剥くと、甘酸っぱい匂いが漂う


俺の今の気持ちみたい…な

なんて、乙女思考過ぎるか


ふと視線を感じ視線を追うと、翔くんがキッチンの入口に立って俺を見ていた

 

「ん?いま食べたい?」

「…色っぽいなって思って…今のお前」

 

「へ?皮剥いてるだけなのに?」

「俺の事考えてたろ…」

 

そっと近付くと後ろから抱きしめられて体が跳ねた

 

「あっ翔くん危ないって」

 

腕を伸ばし、切り終わっていた一かけらを取るとシャリシャリと噛む音と息使いが鼓膜に響きドキドキと鼓動が早くなる

 

「なぁ…やっぱり」

 

『ベット…行くか』耳に落とされた唇から甘い囁きに、シンクに包丁を置いた

 

翔くんも欲しかったの?

欲しがってくれるの?俺の事…

 

うん…と頷くだけの俺の手を掴み薄明かりのベットルームに連れ去られた

 

「潤…こうしたかった…」

「俺も…俺もこうしてっ」

 

また言葉を吸い込まれ、りんごの香りに包まれて甘い夜が始まった