潤side

 

『はぁ…じゅん…覚えてて…』

『あっぁ…しょうく…』

 

思い瞼をゆっくりと開け浮上する意識の中

隣の冷たくなったシーツに手が触れた


はぁ…またあの頃の夢を見たのか…


その証拠に瞬きすると冷い雫が頬を伝った


「ん…身体が重い…風邪ひいちゃったかな」

 

相変わらずの癖で独り言を呟いては


「独り言でけぇよな」って

優しく笑ってくれた人を思い出して


襲いくる切なさに膝を抱えて顔を埋めた


もう忘れようって…


きっと帰って来ないって

たぶんもう俺の事なんて忘れてるって

 

何度も捨ててしまおうと思った想いなのに


俺を呼ぶ声も優しいキスも

そして俺の身体を裂く様に入り込んだ熱も


そうさせてくれなかった

 

もう7年…か…

いつになったら想い出に出来るのかな

 

でも言ったもん『必ず迎えに来るから』って

その言葉を未だに信じているから


ああ…なんて弱いんだろう俺は…


でも…


まだ想い出に捕らわれていたいんだ…


顔を埋めたままの膝が濡れていく


「しょうくん…」


届くはずないのに会いたくて仕方がない

愛しい人の名前を呼んだ


ガチャっとドアが開くと

差し込む朝日が眩しくて目を細めた先に…


うそ…