大人の童話(終われる男、最終) | 天使の囁き(童話で心を癒して)

大人の童話(終われる男、最終)

 翌日迎えのタクシーで連れて行かれた所は教会だった。

 あの絶世の美女がウエディングドレスで待っていた。

 黒服の五人組も黒のタキシードでいる。

 全て思い出した。

 美女も五人組も学生時代の恋人と親友達だ。

 コンパクトは母親の形見だった。

 母が死んでから俺は一時記憶をなくしていたようだ。

 俺の運転していた車で母がなくなったからだ。

 俺は家を飛び出して知らない町で生活していた。

 記憶をなくしたまま生活出来たのも、家族の助けがあったからだろう。

 戸籍もあったし、会社に勤めている事がそれを証明している。
 もちろん俺は喜んで結婚式に出た。

 全ては恋人だった彼女が仕組んだのだ。

 これからの俺はどうなるか、ちょっと恐い気もするが、前を向いて歩くつもりだ。


 終わり