お月さまの見た話し(ネコの集会) | 天使の囁き(童話で心を癒して)

お月さまの見た話し(ネコの集会)

 知りあいに、野良猫を可愛がっている人がいます。
 気になって仕方がないので、家にいれてあげています。
 最初は、馴れなくて、なかなか家に入って来なかったそうです。
 だけど、知りあいの方の愛情なのか入ってくるようになったそうです。
 昼間や、夜は」プイっと出て行く事があるそうです。
 それを聴いて、ちょっと物語にしてみました。


 真夜中の事でした。
 満月に照らされた道をたくさんの猫が歩いています。
 みんなは町の中にある工場跡地にむかっているようです。
 お月様は知っていました。
 今日は年に一度の野良猫達の集会なのです。
 猫達は思い思いの格好で長老が来るのを待っています。
 一番大きな猫が廃車になった車の上に上がりました。
 その時、遅れたのか二匹の猫が飛び込んできました。
「ゴメン、ゴメン遅くなってしまって」
 陽子さんが可愛がっているミースケとミータローです。
 ミースケが家の中に入っていたので、外に出るのが遅れたのです。
 長老の話が始まりました。
 そして、猫達は順番に一年間の報告します。
 最後は遅れてきたミースケとミータローです。
 陽子さんに可愛がられていると話していた時でした。
 建物の陰で大きな音がしました。
 猫達は一斉にそちらを見ます。
 そこには陽子さんがいます。
 猫達は一斉に取り囲みます。
 今にも飛びかかろうとする猫までいます。
 ミースケとミータローは長老に何か頼んでいます。
 長老は、陽子さんの前に行き、目を見つめました。
 そうすると、陽子さんは来た道をミースケとミータローと戻っていったのです。
 猫達の集会は終わり辺りは静寂になりました。
 お月様は歩いている一人と二匹の猫を優しく見つめています。
 陽子さんが何も覚えていないと思うと、ちょっと残念だったかなと思うお月様でした。