お月さまの見た話し(家族の絆) | 天使の囁き(童話で心を癒して)

お月さまの見た話し(家族の絆)

 お月様は小さな郊外の駅を見ています。
 気になる女の子がいるのです。
 毎日、最終電車で帰ってきては、全速力で家まで走って帰ります。
 今日も、その女の子が出てきました。
 バレーボールを持っています。
 お月様は、その女の子が走り出すと思っていました。
 だけど、今日は違っていました。
 ちらっと、ベンチに座っている若い男を見ます。
一瞬嫌な顔になりました。
 女の子は駅前の道をゆっくりした足取りで歩いています。
その後ろにはあの若い男と、年輩の男性がいます。
どちらも、同じような距離があいています。
 お月様は嫌な気がしました。
だけど、女の子を照らす事しか出来ません。
ほとんどの人がタクシーに乗るので、歩いているのは3人だけです。
灯りが少ない所に来ました。
家まで少し距離があります。
若い男の足が速くなります。
 女の子は走りだしました。
 女の子は掴まりそうです。
 後ろの方で声がします。
 「待て」と言っているのは年輩の男性のようです。
 「お前、急に走るなよ」
 「ふふ、お兄ちゃん、帰ろ」
 「お前ら、俺を殺す気か」
 三人は仲良く話しています。
 二人共、恥ずかしくて、離れていたようです。
 お月様は、はらはらした事がおかしくなりました。
 だから、笑いが止まりません。
「今日のお月様って真っ赤だったね」
 三人は仲良く家に入ったのでした。