私は才能派
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、どんなことも「好きになる」ということ自体が才能のように思えます。
わたしの同居人は料理人なのですが、どんな料理でも作ってしまいます。
中華料理やフランス料理はもちろんのこと、日本料理にゲテモノ料理、ケーキにクッキー、挙げ句の果てにはマカロンまで作ってしまい、わたしから見たら引田天功以上のイリュージョニスト。
もはやどうやって作っているのか、皆目見当もつきません。
マカロンなんて何か特殊な機械でないと作れないイメージがあったので……。
そもそも、仕事で料理をしているのに家に帰ってきてまで料理をするなんて、その情熱は熱したフライパン以上のものを感じます。
一方のわたしは、料理するのが大嫌い系の人間。
みそ汁作りはおろか、ネギの千切りもやらず、もっと言えば包丁を触ること自体が嫌いです。
わたしが作る料理といえば、カップヌードルやペヤング、どん兵衛、ボンカレーなどなど。
やかんに水を入れ、火にかけ、沸騰したらお湯を入れる、この3つの工程で料理への気持ちは限界を迎えます。
限界を迎えるというか、どちらかというと「料理をするとイライラする」と言ったほうが正しいかもしれません。
「料理には『さしすせそ』がある」などと急になぞなぞめいたことを言い出したり、「小さじ3杯=大さじ1杯」などと算数のような問題が出てきたり、「ツノが立つまでかき混ぜる」などと比喩表現を使い始めたりして、中途半端に頭を使わされることもイライラの要因です。
こんなことでイライラするのですから、マカロンなど一生作れるわけがありません。
以上のことから「練習できる=好き=才能がある」ということであり、逆に「練習できない=嫌い=才能がない」ということ。
どちらに転んでも、料理には才能が必要なのです。
そして、わたしには料理の才能がないのです……。