今回はDAWのMS処理に触れてみたいと思う。
私の環境(Studio Oneを使用)でMS処理を施す場合、選択肢は以下のいずれかになる。
・付属プラグイン「Mixtool」を使用し、単一トラック上で処理する。
・True M/Sを使用し、2トラックをMid、Sideに分割して処理する。
両者の音質の違いや使い勝手等を比較してみた。

【Mixtool】
<メリット>
・単一トラック上で処理が完結する
・DAWの付属プラグインを使用するため、プラグインを別途購入する必要がない
<デメリット>
・対象トラックの音量が6.1dB低下する
<DeltaWaveによる相対評価>
・Difference (rms) = -89.25dB [-145.09dBA]
・DF Metric Median = -80.8dB



【True M/S】
<メリット>
・2トラックにMidとSideをそれぞれ割振り、直感的に扱える
・マスタートラックに出力される音量は、原音と完全一致する
・Mixtoolを用いるより僅かに音質が良い
<デメリット>
・プラグインを別途購入する必要がある(40ドル程度)
<DeltaWaveによる相対評価>
・Difference (rms) = -89.32dB [-125.65dBA] ※原音との一致率が0.07dB高い
・DF Metric Median = -80.7dB




いずれの方法でも音質的な違いはほぼないが、「True M/S」は「Mixtool」のように音量の低下もなく、チェーンを組むことなく通常のプラグイン同様に使用でき、かつCPU負荷も極めて低い。
トラックのMid、Sideを抽出するだけの単純な機能だが、ありそうでないプラグインなだけにかなり重宝している。