エンコードやリサイズを伴う動画変換の場合、画質劣化は避けては通れませんが、
マイナス要素は極力最小限に留めたいものです。
特にリサイズによる劣化は、変換後の動画品質に直結するため、どのようにリサイズを行うかが高品質な結果を出す肝ではないかと考えます。

今回比較実験で使用する動画は下記の3つ(HD(1920*1080)をSD(720*480)にリサイズ)。
1.TMPGEnc Video Mastering Works 6
2.AviSynth Spline36Resize
3.AviSynth Dither_resize16nr(kernel="spline")
※ 2および3のエンコードにはHCencを使用


予想としては、一般的な8bitでリサイズする場合、扱える色が256色に制限されるため、色精度低下は必至ですが、
「3」のDither_resizeによるリサイズは、16bit(6万5536色)で処理するため、高い色精度を保ったままリサイズが可能です。
有料・無料問わず、動画を細部まで追い込める自由度の高さにおいては、現時点でAviSynthの右に出るものはないでしょう。
それでは1~3についてそれぞれ解説したいと思います。

※ SDにリサイズした動画から1フレームをキャプチャしたものを4倍に拡大し、細部を検証していますが、動画は読んで字の如く「動的」なものであり、1~3それぞれの検証結果は、視認困難な僅かな差異である可能性は大いにあります。

1.TMPGEnc Video Mastering Works 6
一見すると他と遜色なく綺麗にリサイズできているように見えるが、元動画(HD)の精細さが失われ、全体的に甘い画質。
色階調が狭い影響として、背景のボケ部分等が単調なベタ塗りになりがち。

また、ブロックノイズが発生している箇所が見られる。

2.AviSynth Spline36Resize
元動画の精細さをある程度は再現出来てはいるが、リサイズに伴う色情報損失が著しく、グラデーション部の階調表現が他より劣っており、色にまとまりがない。

3.AviSynth Dither_resize16nr(kernel="spline")
精細さ、階調の豊かさを両立できており、手前の対象物(チューリップ)周辺にリンギングの発生もほぼなく、非常に高精度のリサイズであると言える。


動画編集(変換)というと、Premiere CCやAfter Effects CC、TVMWといったメジャーなソフトが浮かびますが、画質をとことん追求するのであれば、AviSynthは非常に強力な選択肢になるはずです。