牛乳通信 第102

 

Blog http://d.hatena.ne.jp/tenshinokuma/

twitter @tenshinokuma

Facebook https://www.facebook.com/tenshinokuma

Instagramtenshinokuma33

 

♪あけましておめでとうございます?

 あまりめでたい感じがしないですよね。一昨年のロシアによるウクライナ侵攻に加えて、イスラエルによるガザ侵攻。とりわけガザについては毎日ワールドニュースでアルジャジーラなどの映像を見ているので、本当に気が滅入ります。

 ということに加えて、元旦から能登半島地震。地震そのものこそ自然災害だけれど、その後の鈍い対応など、銅かと思います。

 というだけではなく、昨年は両親が相次いで旅立ってしまったので、喪中というでもあるのですが。

 

♪釣りとトレッキング

 トレッキングですが、昨年は、西丹沢の檜洞丸と、群馬県・栃木県の県境にある日光白根山に登りました。この2つはまあ、ちょっと本格的に近いかもしれないです。

檜洞丸は、知人の車(テスラを自慢したかったらしい)で登山口まで行ったので、往復は楽でしたが、山頂付近以外はちょっときついだけの山だったかも。

日光白根山は、途中までロープウェイを使ったので、ゆるいですね。でも高山植物は見ごたえがあったし、山頂付近はワイルドでした。

他には、筑波山をはじめ、いろいろなゆる山に登りました。低いところでは、生田緑地の枡形山とかもあります。「ヤマのすすめ」がきっかけで、飯能アルプスの子の権現も行きました。最後は、昨年同様、友人4人(みんな還暦+1)で関八州見晴台。

 表丹沢は行きそこなったけど、陣馬山から高尾山への縦走は今年もしたし。今年はどこに行くのでしょうか。

 釣りは、小田原の米神漁港と江之浦漁港に行きました。なぜか、クロホシイシモチというネンブツダイに似た魚がたくさん釣れました。今年のテーマは、釣った魚はすべて刺身にする、ということです。ベラもゴンズイも刺身です。スズメダイの刺身はまあおいしかったし、カゴカキダイやメジナもまあまあ。クロホシイシモチは刺身よりも昆布締めがおいしかったです。

 本当は、カサゴとかハタとか釣りたかったんですけどね。根魚を釣るのが好きなのですが。なかなか簡単にはいかないです。

江戸川放水路のハゼ釣りも一回だけ行ったけど、雨が少なかったせいか、なんか川が少しどぶみたいな匂いで、ちょっとなあ。いや、釣ったハゼは天ぷらでおいしくいただきました。

 

♪筋トレと水泳

 昨年夏の終わりから始めたのが、筋トレ。それに水泳も復活し、週に一度は1200mくらい泳いでいます。

 なぜそうなったかというと、血糖値が上がったから。HbA1c7.5まで上昇してしまったので、最初は薬を飲むことにしました。でも、糖尿病の薬を飲むと、倦怠感がひどいです。体重は3㎏くらい減ったけど。慣れもあるのですが、医者と相談し、薬をやめて、筋トレと食事に切り替えたのです。ということで、毎日筋トレをしています。短い時間だけど、腹筋を中心にスクワットとか腕立て伏せとか、スマホアプリをガイドにしてやっています。筋肉がつくと、糖を消費してくれるので、血糖値が下がります。かくして、現在はHbA1c6.5、高めだけれど薬は不要なレベルに下がっています。まあ、実際に少しは筋肉がつきましたし、お腹もちょっとへこんだかな。糖尿病の薬で減った体重は、今のところキープしています。

 

♪資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか

 2023年もそれなりに本を読みました。

最初に、イヴ・コゾフスキー・セジウィックの「タッチング・フィーリング」(小鳥遊書房)がじんわりときました。セジウィックといえば、ジュディス・バトラーと並ぶクイア理論の開拓者なのですが、この本はそうした部分だけではなく、セジウィック自身が死を意識して書かれたところもあります。チベット仏教にそって、死ぬ瞬間まで人は学ぶ、そうした生き方について述べられています。自分らしく生きるためのフェミニズムの一つの到達点かもしれません。

ナンシー・フレイザーの「資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか」(ちくま新書)は、昨年のおすすめの1冊です。タイトルそのまんまの内容ですね。資本主義のしくみはお金をお金があるところに集めてしまうので、豊かさの再分配がそのままではできないのだと思います。99%の人は1%のお金持ちの側にいないわけです。

そもそも、社会が進歩すれば、誰もが幸せになるはずです。それはジェンダーや障害の有無にはよらないし、親ガチャとかもないはずです。ということを意識しているので、立岩真也が亡くなったのは、かなりショックでした。この機会に、「弱くある自由」などいくつも読みました。とても読みにくい本ではあるのですが、人が生きていけるというのは、とても大切なことだと思うのです。

そうしたことから遠く離れたところにあるのが、今のガザです。ガッサーン・カナファーニーの「ハイファに戻って/太陽の男たち」(河出文庫)は、パレスチナが置かれた状況が伝わる短編集です。ぜひ読んで欲しい本です。

東京に長い事住んでいるということもあって、源川真希の「東京史」(ちくま新書)はおもしろかったです。近現代の東京が、どのように成り立っていくのか、時間軸というよりテーマごとに読み解いていって、新たな見方を提示してくれます。著者は、大学の同級生なんですけどね。つきあいはないけど。

小説は、新刊ではジョン・スラディックの「チク・タク」(竹書房文庫)が面白かった。ロボット三原則が壊れた主人公が人を殺しつつ副大統領候補になっていくというブラックなコメディだけど、トランプってこんな感じだよな、と思ったりもします。

アリ・スミスの「五月 その他の短編」(河出書房新社)も面白かったけど、スミスは基本的に長編作家ですね。トリッキーな作品が短編ではそのことが目立ってしまうので。

それから、ジャン=フィリップ・トゥーサンの「ぼく」とマリーの4部作の最後がずっと翻訳されなかったので、英訳で読みました。「裸の人」というタイトルになるのかな。ラストがすごく印象的でした。チョコレート工場の火災による強烈な香り、墓地に降る冷たい雨、そこでマリーに告げられること。死を超えて生につながっていく見事なラストでした。4部作の最後だけが翻訳されないなんて、犯罪だと思います。

マンガは、完結した次の3つが印象的。ペトスの「亜人ちゃんは語りたい」(講談社)は、障害者や外国人などへの差別に対する批判、秋本治の「ブラックティガー」(集英社)はジェンダーとLGBTQを意識した西部劇、坂井恵理の「シジュウカラ」(双葉社)は家父長制とエイジズムに対する批判、というそれぞれの側面を持った上での、エンターテインメントなのです。

 

♪「王様戦隊キングオージャー」はちょっとすごかった

 一昨年の「ドンブラザース」がカオス的でちょっとすごかったのだけれど、昨年の「王様戦隊キングオージャー」は逆にしっかりと構成されたドラマと力の入ったCGによる背景を使った異世界ということで、これまでのスーパー戦隊とは一線を画す、とんでもない出来になっています。クォリティの高さにはびっくりします。キャラクターの一筋縄ではいかないし、伏線はこれでもかっていうくらい張り巡らされていて、それがきちんと回収されていくし、スーパー戦隊シリーズの最高傑作という声もあります。まだ、最終回は先だけれど、歴史に残る作品だと思うよ。

あとは、「昨日何食べた2」は、けっこう楽しく観ていました。「ギョギョっと、サカナスター」は、NHK Eテレの番組なのですが、とても好きです。まあ、魚が好きなだけじゃなく、サカナくんもいい感じなのだけれども、香音のちょっと外しているところがかわいいので、それも魅力です。

 

♪その他、仕事の周辺

 4月に、久しぶりのまったくの新著となる「図解即戦力 脱炭素のビジネス戦略と技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書」を技術評論社から出しました。長いタイトルですね。でもまあ、脱炭素をめぐる動きとか背景とかは、だいたいこれでフォローできるものにしたつもりです。といっても、ビジネス書なので、ちょっと敷居が高いかも。本屋で見かけたら、コラムのところだけ読んでみてくださいね。

他にも、週刊エコノミストとかにも記事を書いたし、年末にはダイヤモンドオンラインにも書きました。年明けには、また別の媒体に書いた記事が出ます。

でも、仕事のメインは、H Energyという韓国企業の日本進出の基盤づくりでした。エネルギー関係の仕事ですが、まずは入り口を探す1年だったかな、と。今年は、日本でもきちんと事業ができるようにしたいですね。

もう一つは、鳥取県倉吉市のお手伝いもしています。今年は、鳥取県に行くことが増えるかもしれません。大山には登りたいですね。

 

♪トークングヘッズ

 「トーキングヘッズ叢書」でも、毎回寄稿しているので、よろしかったら読んでやってください。身体と恋をテーマに、レベッカ・ブラウンやジャネット・ウィンターソン、モニック・ウィティグなどについて書いたり、銭湯とかMINAMATAとか団地について書いたりしました。

 あと、観た演劇は基本レビューしています。

 あと、フェリシアはまだ残部があるので、読みたい方は連絡ください。

 今年は別のメディアにも書くことを計画しています。これも、リリースしたら報告します。トラディショナルな暴力について書こうと思っています。

 

♪最後に、パレスチナのことなど

 イスラエルによるガザへの攻撃の映像は胸が痛みます。毎日100人くらいの人が死んでいるのです。正当化されるものではありません。同時に、それに対してほぼ何もできない世界の無力さにも絶望したくなります。

 言っておくと、ぼくはハマスをテロ組織だとは思っていません。むしろ、オスロ合意すら守ることができず、ガザに人を閉じ込め、ヨルダン川西岸に入植するイスラエルが侵略組織だと思っています。侵略されている側が攻撃したとして、誰が責められるでしょうか。むしろ、そうした悲劇を防ぐことが、イスラエルが和平に応じることだし、欧米が支援することだと思うのですが。

 イスラエルとロシアがともに侵略国家であるにもかかわらず、欧米の対応はまったく逆です。このダブルスタンダードに、先進国の偽善を感じます。日本政府も同じです。

 日本のことも考えます。一昨年暮れに、タモリが徹子の部屋で現在の日本を新しい戦前だと述べたと言います。でも、ぼくはむしろ、いまだに戦後にたどりつけていないのではないかと思っています。日本国憲法が体現しようとした国家像にキャッチアップできていないのが今の日本です。

 東京オリンピックが負のレガシーを残し、大阪万博が日本の恥をさらすように進んでいく。円安が進行しているのを見ると、戦後が逆回しで進んでいるようにも見えます。でもそれは日本だけではなく、トランプ人気の米国をはじめ、右翼が台頭する欧州、あるいはロシアも中国も同じかもしれません。そんな中で日々暮らしているのだと思います。

 えーと、それはそうとして、東京ヤクルトは昨年は5位でしたが、今年は再び優勝して欲しいと思い、応援します。国を背負ったスポーツは好きではないですが、ファンとしてチームを応援するのは好きです。

 それに、春になったら花見がしたいですね。昨年は光が丘公園でやったのですが、今年もそこがいいかな。

 ということで、今年がいい一年でありますように。