おすすめの本 試験勉強という名の知的冒険
おすすめの本 「試験勉強という名の知的冒険」 大和書房 富田一彦
1・2巻ある。面白い。
勉強がどういう役に立つか、どういうことに気をつけて勉強すべきか、受験生へのメッセージ、親へのメッセージ、教育者へのメッセージなど。
内情を知らずに、ピント外れの教育批判が多い中、非常に説得力ある話が続く。
第2巻の57ページから、筆者の息子が数学の宿題を出さなかったあたりのエピソードが特に面白かった。
東京では、宿題を出す、挙手して授業中発言するなどでポイント制のように成績が決まり、期末テストなどは全体の評価の4分の1にもならず、満点をとっても5段階の2になっても不思議ではないという。
ところが、筆者の息子は数学の先生に反発し、「成績が悪くなっても構わない」と言う。筆者はどうするか。
よく、
「受験では答えのある問題ばかりやるが、実社会では答えのない問題がたくさんある。」・・・ア
「答えがある受験勉強を繰り返していると、実社会の答えのない問題に対応できなくなって有害だ」・・・イ
と言われる。
これに対して、筆者はアを肯定しつつ、イを否定する。
むしろ、実社会で答えのない問題にぶつかる前に、まず練習として、答えが用意された問題を解き、手掛かりを見つける訓練をすることは有意義であると主張する。
同感である。
途中いろいろな問題も載っている。
すぐに公式を探そうとする人を罠にはめる問題では、恥ずかしながら私も罠にはまってしまった。
ただし、私はそのままの方向で、強引に解いてしまった。
ある面積を求めるについて、公式で解こうとすると、「高さ」がわからず、うまくいかないと筆者は考えているようだが、高さもちゃんと求めることができる。
確かに、高さを求めずに解く方法については、「なるほど」と感心したが、一方で、かっこよく解けなくても、まず公式を考え、公式の「高さ」が直接出ていなくても、何らかの方法で高さがわからないか、強引に思考を積み重ねていくことも重要である。
英語のoftenを「しばしば」と訳すことになっているが、「日常生活でしばしばという言葉をしばしば使うだろうか」という指摘には同感。
この本には載っていないが、英語frequentlyに至っては、「非常にしばしば」と訳すことになっていて、こっちにはもっと違和感あり。
オタクのコーナー
今日確か、AKBの前田という人が「卒業」するということだった。
私は、山口百恵くらい実績をあげた人ならばともかく、誰も知らないようなアイドルが、将来性を見いだせずに引退して消えていく時に「卒業」などと称するのは、「敗戦」を「終戦」、「撤退」を「転進」、「売春」を「援助交際」というようなごまかしである。
AKBの前田さんなら、まあ、かなり有名なようであるし、ギリギリ「卒業」でも良いかと思うが、その職業でそれなりの実績もあげていないような人は「卒業」でなく、「引退」あるいは「中退」と言ってほしいものである。