小選挙区制をつぶせ・2+柔道一直線 | アトラス塩浜のブログ

小選挙区制をつぶせ・2+柔道一直線

小選挙区制をつぶせ・2

前回述べたように、2005年の小選挙区では48%の票しか得ていない自民党が、300人中219人もの議員(全体の72%)を当選させ、36%の票を得た民主党はわずか52人(全体の17%)しか当選しませんでした。
48%の票で219人の議員(72%)
36%の票で52人の議員(17%)

では、こんな小選挙区制をなぜ取り入れたのでしょうか。
歴史を語りましょう。

1955年、自由党と民主党が合体して自由民主党ができました。鳩山一郎は小選挙区制を導入し、自民党を圧勝させ、憲法を改正しようとしました。
小選挙区制は、わずかな票の差でも、議員の数については大きな差をつけることができます。憲法を変えるには、単なる過半数ではなく、総議員の3分の2以上の賛成が必要です。
「総議員の3分の2以上を自民党でとるには、小選挙区制に限る」 鳩山一郎はそう考えたのでした。
はい、これ重要。ぜひ、覚えて下さい。

「小選挙区制は、二大政党制をつくるためにある」と後に宣伝方法を変えましたが、小選挙区制は元々は1番大きい自民党が、2番目に大きい政党に大きな差をつけ、圧勝するためのものでした。

しかし、野党やメディアの大反対で小選挙区制にはなりませんでした。
次に、強引さとスピードでは有名な田中角栄も小選挙区制導入を狙いました。しかし、やはりメディアや野党が大反対し、田中角栄でさえ、導入には失敗しました。
野党もメディアも「小選挙区制は、1番大きい自民党を圧勝させ、憲法を変えるためにある」ということをよく見抜いていたのです。

そこで、小選挙区制を狙う人達は違う理屈をあみ出しました。
次のような理屈です。
「アメリカは共和党と民主党の二大政党がかわるがわる政権をとっています。イギリスは保守党と労働党の二大政党がかわるがわる政権をとっています。片方の政権が変なことをやったら、次の選挙で政権が変わるのです。だからこそ、それぞれの政党は相手に負けないように頑張るのです。ところが日本はどうでしょう。ロッキード事件があってもリクルート事件があっても、自民党は政権をとったままです。政権交代がないから、自民党はどんどん悪くなっていきます。この違いはなんでしょう。アメリカやイギリスは小選挙区制なのです。小選挙区制によって、政権交代可能な二大政党制ができたのです。さあ、日本も小選挙区制にして、政権交代可能な二大政党制にしましょう」

おっと、この理屈を信じてもらっては困ります。

これを自民党から言い出している点に「怪しい」と思ってほしかったのですが、なぜか1990年ごろからメディアも小選挙区制に大賛成。
実は当時自民党だった小沢一郎が選挙制度審議会に大量にマスコミ幹部を入れ、手なずけてしまったのです。審議会の委員になりますと、たまーーーーにある会議にちょこっと出ると結構なお金がもらえるのです。
手元に資料がないのですが、記憶だけで書きますと、確か19人の審議委員のうち、メディア関係者を8人入れるという必殺技に出たのです。
おかげで、1990年代前半は、小選挙区制に賛成する議員が「改革派」と呼ばれ、小選挙区制に反対する議員は「守旧派」「保守派」と呼ばれ、おまけにおどろおどろしい音楽が流れたり、ニヤリと笑ったり、耳打ちしたりするようなシーンが流されました。

元々は1位が2位に圧勝して憲法を変えるため」にあった小選挙区制が、いつの間にやら「政権交代可能な二大政党制にするため」という理由に変わっていました。

1.彼らの論法
①アメリカやイギリスは小選挙区制である。
②アメリカやイギリスは二大政党で政権交代している。
③ゆえに日本も小選挙区制にすれば二大政党になり、政権交代する。

私から見るとかなり論理に飛躍があります。
世界史の教科書をパラパラ見ていただくと、アメリカやイギリスはトーリー党とホイッグ党、保守党と自由党など、かなり昔から二大政党制だったのです。
二大政党ならば「2つのうち1つを選んで、1位が勝ち」という仕組み、つまり小選挙区制がわかりやすいわけです。
「小選挙区制にしたら二大政党になった」というのではなく、「二大政党だから小選挙区制にした」というのが正しいのです。

ところが日本は二大政党制ではないのに、「小選挙区制にしてしまえば二大政党になるはずだ」とやったのです。
これは「頭が良い人が東大に行ける」のを勘違いして「東大に無理にでも入り込めば頭が良くなる」と思うようなものです。
あるいは「小泉純一郎は下ネタが好き」「小泉純一郎は総理大臣になった」「ゆえに下ネタを好きになれば総理大臣になることができる」というようなものです。

元々国民の好みが2つに分かれていたのがイギリスやアメリカ。
ここで「2つに1つのどちらを選ぶ?」という形がとられたのです。
国民の好みが多様化しており、今後むしろますます多様化する時代に、少数意見を切り捨てて、メニューを2つにしてしまえ・・というのは乱暴です。

まとめ
小選挙区制は、大きい政党に有利な制度です。(これは賛成派も認めています)
元々は1番大きい自民党が圧勝して憲法改正をする手段として使おうと思っていた制度でした。
1990年代から、「2大政党制にするため」という理由が語られるようになりましたが、小選挙区制は「大きい政党に有利」ということまでが確かなだけで、「ちょうど良い同じくらいの大きさの二大政党ができる」などという保証はありません。


オタクのコ-ナー
さまざまな格闘技漫画を書いた梶原一騎氏。
「柔道一直線」の絵の変なところ。
足払いが、足払いというよりも、ローキックになっている。
巴投げの時に手を全く使わず、足だけで腹を蹴り上げている。
以上2つは柔道の試合なら反則をとられかねない。
柔道では、投げる時に「引き手」と言って、相手の片方の手を最後まで持っているのであるが、柔道一直線では、空中で手を離して投げ捨ててしまう。そのため、相手が空中で回転して足から着地するというシーンも多い。
このあたりは彼が空手家であって、柔道経験がないことによるのであろうか。

私は身長168センチ、座高96センチの短足である。
内股(技の名前です)、大内刈りなど、両足の間に足を入れて払う技があるが、私がこれをやられると、足の長さの差で、相手の足や膝でキンタマを蹴られることが多い。