国籍法の基礎知識 | アトラス塩浜のブログ

国籍法の基礎知識

アトラス塩浜です。
国籍法改正についての議論が盛んですが、賛成するにせよ、反対するにせよ、前提知識がなければ話になりません。
ここでは、賛否そのものよりも、基本的な前提知識を説明致します。

0 わかりやすい部分
①日本人男女の間から生まれた子は、その男女が結婚していてもしていなくても日本国籍がとれます。
②日本人女性から生まれた子は、相手の男性が日本人だろうと外国人だろうと、また、その男女が結婚していようといまいと日本国籍がとれます。

1 ややこしい部分
父親が日本人で、母親が外国人だと話がややこしくなります。
仮に日本人である塩浜と、イタリア人であるりりあんの間に子供ができたとしましょう。
(「萌えドル」りりあんはイタリア育ちなだけで日本人ではないか、という突っ込みは入れないでください。あくまで考えるための設定です。)

①ア 塩浜とりりあんが結婚した後にできた子は日本国籍が取れます。
イ 実はその子が、中国人ジャッキーチェンとりりあんの間にできた子であっても塩浜とりりあんの婚姻関係中に生まれていれば日本人塩浜の子と推定され、日本国籍が取れます。
②ア 塩浜とりりあんが結婚していない状態で生まれた子も、胎児の時に塩浜が、「これは私の子だ」と認知すれば子は日本国籍が取れます。
 イ 実は「これは私の子だ」というのがうそであっても、日本人塩浜の子と推定され、日本国籍が取れます。
 ウ 胎児のうちに認知すれば、その後塩浜とりりあんが結婚しなくても子の国籍に影響ありません。
③これに対して、胎児の時ではなく、産まれてから認知した場合には、塩浜とりりあんが結婚しないと子は日本国籍を取れないのです。

0や1の①はわかるとして、どうして1の②と③で差があるのかが問題となり、今回の改正案につながったのです。

重要ポイントをまとめると、日本人塩浜とイタリア人りりあんの間で生まれたらしい子は、
胎児のうちに認知されれば、両親が結婚していなくても日本国籍が取れ、
生まれてから認知されると、両親が結婚しない限り日本国籍が取れない。
「この差は何なのだ、しかも、ここは子がどうにかできる部分ではないではないか、憲法14条法の下の平等に反する」として、最高裁判所が珍しく違憲判決を出しました。
(ただし、違憲としたのは15名の裁判官のうち12名。3名は合憲。また、補足意見多数。近藤裁判官の補足意見はぜひご参考にどうぞ)
この違憲判決を受けて国籍法改正案が出たのです。
つまり、生まれてからの認知でも、②と同じように扱おうという案にするのです。

今回改正案に反対する人は、本当はイタリア人りりあんと中国人ジャッキーチェンの子なのに、日本人塩浜が認知するというようなインチキ認知が行われ、それが人身売買や不法入国につながらないか、と心配しています。

その可能性はあります。
その意味で反対している人に根拠はあります。
が、今までの法律でも、胎児のうちにインチキ認知をすれば同じです。また、生まれた後、愛があろうがなかろうが結婚すれば同じです。

インチキ認知は、改正前の法律でもできます。
悪いのはインチキをする人であって、子には罪はありません。
インチキする人がいることが、インチキしない場合にも影響するのはおかしい。これは、選挙で戸別訪問を認めると、そこで賄賂を配る奴がいるからという理由で戸別訪問そのものが禁止されていることと同じようにおかしい。あるいは、携帯電話で振り込め詐欺をする人がいるからと言って、携帯電話を禁止するのと同じくらいおかしい。

胎児の時に認知してもらった子と、生まれてから認知してもらった子についてどうして差をつけなければいけないのか。ここが問題だとして改正案が出ました。

改正案に反対するとしたら、そのあたりを踏まえる必要があるでしょう。
基本的にインチキ認知で人身売買・不法入国されるのが問題ならば、その部分について重く罰することを考え、まともな認知を巻き込まない。また、②と③で子の地位に差が出ないようにするということが重要だと思います。


オタクのコーナー
秋葉原のソフマップアミューズメント館のイベント会場の時計は、時計に見せかけた監視カメラである。時計中央部に穴が空いていて、裏側から線がつながっている。行った人は注目してみてほしい。なぜ、こういう陰険なやり方で客を監視するのか、合理的根拠があるなら聞きたいものである。
参考・・・公共のために告げられる真実は、名誉毀損罪には該当しない。私は肖像権とプライバシーへの防御を促すために書いている。

もちろん、世の中、防犯カメラはいろいろな所にあるが、なぜ時計に見せかけたものなのか。
普通のイベント会場なので、こちらも撮られて困るようなことはない。陰険な方法ながら、一応防犯目的であると思いたい。が、こういう偽装カメラが、更衣室なり、何なりにも仕掛けられていないか、アイドルの皆さん、気をつけてほしい。