プロレスバカ1代・1
新シリーズ プロレスバカ1代・1
高校の体育大会の騎馬戦での出来事である。
「その男」は、普段から理屈っぽく、生意気だったため、騎馬戦で、ここぞとばかり上級生に囲まれ、集中攻撃を受けた。
この高校 -新潟県立高田高校― では、「鉢巻をとられたら終わり」などという、軟弱なルールではなく、激しくぶつかり合って、騎馬をつぶすということになっていた。それだけに攻撃方法もすさまじい。
しかし、「その男」は攻撃されるほど、「燃えてきたぜー」と言いながら嬉しそうに笑っていた。
本人が頑張っても、騎馬戦では下の騎馬が崩れたらどうしようもない。
「その男」の騎馬が崩れ、もうこれまで、という所で、「その男」は、騎馬の上から急に飛んでいった。
「ドラゴン・ロケットーッ!!!」
と叫びながら。
男は敵の1人と同体となりながら、地上に落下していった。
「最後に道連れにしてやったぜ」
と「その男」は嬉しそうに笑った。
そして、自分の鼻から血が出ていることに気付くと、「その男」は更に嬉しそうな顔をして言った。
「おっとー、流血だ。誰か写真撮ってくれないかな」
その男の名前は塩浜修(私)。
読者諸君!この男は実在する!!
というわけで、プロレス・格闘ネタを「オタクのコーナー」から独立・格上げ。高校時代は格闘技ネタの文章ばかり書いていたものである。
政治の話が出てこないが、それはそれで別の文章でお楽しみください。
それでは、時々梶原一騎先生のパロディも織り込みつつ、このシリーズを始める。
ただし、主観面も書くために、「私」という書き方に戻す。
大学4年の時に、「昼休みプロレス」というものを始めようと思い、宣伝したところ、さっそく問い合わせがあった。
「流星」北城祐二選手である。
結果的に1番強い人がいきなり来てしまった。
少々説明したが、こういうのは言葉でわかるものではないので、
「じゃあ、試しにやってみますか」
と、いきなり中庭の芝生の上で戦った。
こちらは、打ち合わせを兼ねて、軽く実力を試すつもりだったが、中庭で戦っていたら、どんどん通行人が集まってきた。
しかも、それほどの大技を出さなくとも、足払いでスパーンと倒すだけでも、ウオーッとどよめきが起こる。結構これは快感。
確かに、マットを引いたリングの上での大技よりも、通行人と同じ目線のところで、マットなしの場所で投げたほうが迫力があるのだ。
足払いとか、背負い投げのような小技でも随分迫力がある。
まして、スープレックスとかブレンバスターとかバックドロップなどの大技が決まった時には、そこでやられた側がぐったり、「ワン・ツー・スリー」となって試合終了になっても十分説得力があった。
偶然から発見したことであったが、以後、獨協大学では、マットをひかずに戦うスタイルが定着し、いつの間にか「中庭プロレス」と言われるようになった。
リングを組み立てないので、昼休みにすぐ始めることができる。他の大学では学園祭などの特別の時にしか試合しないのとは大きな違いだ。
さて、北城選手との戦いに戻そう。
この時点では、互いの得意技はよくわからない。
とは言え、私は受身には自信あったし、できるだけいろいろな技を食らって実力を診断しようと思った。
北城選手の体が宙に浮いた。
(ドロップキックか。胸の筋肉は鍛えてあるからよけなくても大丈夫だ)
と思っていたら、次の瞬間、凄い衝撃が来た。
痛いとかそういう感覚ではない。
脳味噌の左半分が、奥のほうから熱くなった。
「待った」と言いたかったが、口がうまく動かない。
目の前がよく見えない。
なんだ、この感覚は?
オレはここで死ぬのか?
「こんなバカなことで死にたくない」と思った。
(つづく)
高校の体育大会の騎馬戦での出来事である。
「その男」は、普段から理屈っぽく、生意気だったため、騎馬戦で、ここぞとばかり上級生に囲まれ、集中攻撃を受けた。
この高校 -新潟県立高田高校― では、「鉢巻をとられたら終わり」などという、軟弱なルールではなく、激しくぶつかり合って、騎馬をつぶすということになっていた。それだけに攻撃方法もすさまじい。
しかし、「その男」は攻撃されるほど、「燃えてきたぜー」と言いながら嬉しそうに笑っていた。
本人が頑張っても、騎馬戦では下の騎馬が崩れたらどうしようもない。
「その男」の騎馬が崩れ、もうこれまで、という所で、「その男」は、騎馬の上から急に飛んでいった。
「ドラゴン・ロケットーッ!!!」
と叫びながら。
男は敵の1人と同体となりながら、地上に落下していった。
「最後に道連れにしてやったぜ」
と「その男」は嬉しそうに笑った。
そして、自分の鼻から血が出ていることに気付くと、「その男」は更に嬉しそうな顔をして言った。
「おっとー、流血だ。誰か写真撮ってくれないかな」
その男の名前は塩浜修(私)。
読者諸君!この男は実在する!!
というわけで、プロレス・格闘ネタを「オタクのコーナー」から独立・格上げ。高校時代は格闘技ネタの文章ばかり書いていたものである。
政治の話が出てこないが、それはそれで別の文章でお楽しみください。
それでは、時々梶原一騎先生のパロディも織り込みつつ、このシリーズを始める。
ただし、主観面も書くために、「私」という書き方に戻す。
大学4年の時に、「昼休みプロレス」というものを始めようと思い、宣伝したところ、さっそく問い合わせがあった。
「流星」北城祐二選手である。
結果的に1番強い人がいきなり来てしまった。
少々説明したが、こういうのは言葉でわかるものではないので、
「じゃあ、試しにやってみますか」
と、いきなり中庭の芝生の上で戦った。
こちらは、打ち合わせを兼ねて、軽く実力を試すつもりだったが、中庭で戦っていたら、どんどん通行人が集まってきた。
しかも、それほどの大技を出さなくとも、足払いでスパーンと倒すだけでも、ウオーッとどよめきが起こる。結構これは快感。
確かに、マットを引いたリングの上での大技よりも、通行人と同じ目線のところで、マットなしの場所で投げたほうが迫力があるのだ。
足払いとか、背負い投げのような小技でも随分迫力がある。
まして、スープレックスとかブレンバスターとかバックドロップなどの大技が決まった時には、そこでやられた側がぐったり、「ワン・ツー・スリー」となって試合終了になっても十分説得力があった。
偶然から発見したことであったが、以後、獨協大学では、マットをひかずに戦うスタイルが定着し、いつの間にか「中庭プロレス」と言われるようになった。
リングを組み立てないので、昼休みにすぐ始めることができる。他の大学では学園祭などの特別の時にしか試合しないのとは大きな違いだ。
さて、北城選手との戦いに戻そう。
この時点では、互いの得意技はよくわからない。
とは言え、私は受身には自信あったし、できるだけいろいろな技を食らって実力を診断しようと思った。
北城選手の体が宙に浮いた。
(ドロップキックか。胸の筋肉は鍛えてあるからよけなくても大丈夫だ)
と思っていたら、次の瞬間、凄い衝撃が来た。
痛いとかそういう感覚ではない。
脳味噌の左半分が、奥のほうから熱くなった。
「待った」と言いたかったが、口がうまく動かない。
目の前がよく見えない。
なんだ、この感覚は?
オレはここで死ぬのか?
「こんなバカなことで死にたくない」と思った。
(つづく)