取調室の心理学・中学生のための政治講座・9 | アトラス塩浜のブログ

取調室の心理学・中学生のための政治講座・9

人権 自由権の中の身体の自由・3

戦後まもなく、「帝銀事件」という奇怪な事件が起こりました。
銀行に1人の男が現れ、「近所で伝染病が起きた。まずこの薬を飲み、1分後にこちらの薬を飲むように」と言ったのです。
薬には毒が入っていて、16人中12人が亡くなりました。
毒があまり強ければ、最初の1人2人が苦しんだ時点で他の人は飲むのをやめたでしょう。反対に毒が弱ければ、苦しみながらも病院に行き、助かったでしょう。毒が強すぎもせず、弱すぎもせず、ものすごく計画された犯罪なのでした。

画家の平沢さんが容疑者として逮捕されました。
そして裁判で死刑判決が下されました。
ところが、不思議なことに、死刑判決が下されたまま、死刑そのものは執行されず、無罪を叫びつづけたまま高齢で亡くなりました。

よく、政治の世界の裏で語られている話があります。
実は平沢さんは無実だった。本当の犯人は、戦時中731部隊というところで毒ガス・毒薬などの研究をしていた人だった。アメリカ軍は、日本軍の毒ガス・毒薬などの知識がほしくて日本政府と取引し、731部隊出身の犯人をスカウトしてアメリカに連れていった。しかし、12人の死者が出ている事件で犯人が捕まらないというわけにもいかない。そこで変わり者だった平沢さんがいけにえになった。法務大臣たちはそれがわかっていたので、無実の平沢さんに死刑執行ができなかったのだ・・・といううわさがあるのです。

岩波新書 浜田寿美男著 「取調室の心理学」という本を皆さんにお薦めします。
帝銀事件など、いくつかの事件について、警察による取調べで自白していく様子が描かれています。

昔、私は、「人間は自分に有利な方向のうそをつく」と思っていました。だから、犯罪をやった人が「やっていない」といううそをつくことはあっても、逆に犯罪をやっていない人が「やった」といううそをつくとは思えませんでした。だから一度でも自白した人は、犯罪をやっており、「あの自白はうそだった」という言葉こそうそだ・・と思ったものでした。

しかし、今はわかります。
私も警察の取り調べを何回か受けていますが、あの取り調べに23日間耐えられる人はほとんどいないでしょう。あんなやり方では、今後もやっていない人が「やった」と自白し、無実の罪で有罪にされることが何度も起きるはずです。郵政民営化よりも、これこそ早急に変えなければいけません。

実は、帝銀事件、平沢さんの前に別の人が疑われています。そして、なんと、この人も自白しているのです。どうですか、皆さん。仮に、仮にですよ、平沢さんが犯人だったとしても、こっちの自白は何なのですか。
このことの恐ろしさを真剣に噛み締めてください。

また、「狭山事件」という誘拐殺人事件があるのですが、この時には、取り調べで何人も自殺者が出ています。現在も死刑判決を受けたまま、無実を叫んで戦い続けている人がいるのですが、この人が無実であれ、何であれ、自殺した人は何だったのでしょう。

具体的に変えるべきポイントがあります。
日本の場合、今でも目撃者に、容疑者のみを見せて、「あなたが見た犯人はこの人で間違いないですか」と聞きます。(ごく一部例外あり)

皆さん、同じ状況を想像してください。普通の人は、「警察はたまには間違えるけれど、普通は一生懸命捜査している。そんなにやたら無実の人を思い込みで逮捕したりはしない」と思っているわけです。許せない、卑劣な犯罪があり、警察が苦労して容疑者を見つけ出した。言われてみれば、目撃した犯人に似ているような気もする・・・この時に、自分があいまいな答え方をして、卑劣な犯人にむざむざ逃げられて良いものか・・と思うことでしょう。ここで、「少し似ている気もしますが、よくわかりません」とは中々言えないでしょう。

諸外国では、このような時に、容疑者の他に、いろいろな人を混ぜて、「この中にあなたが目撃した犯人はいますか。いたらどの人か言ってください」というように複数の中から選ばせるのです。このような仕組みに変えるところからでも始めたいものです。

平沢さんを見て、逮捕直後には、11人中6人が「違う」と答え、5人が「似ている」と答えました。せいぜいで「似ている」という答え方だったのです。「この人です」と言った人はいませんでした。

ところが、捜査が進むにつれ、目撃者の言い方も変わっていきます。
毒を飲み、生き残った支店長代理は、逮捕直後には平沢さんを見て「違う」と言っていたのですが、やがて「似ている」と言い、更には「間違いない」「あまりに似ているのではっとした」と言うようになりました。
また、生き残りの4人のうち1人の女性は一貫して、「平沢さんは犯人と似ているけれども違う」と言っていました。

人間、間違いをゼロにすることはできません。が、どうやったら、間違いを減らす仕組みを作ることができるか、常に考え、制度を改良することが大切です。
日本国憲法には「身体の自由」が保障されています。しかし、憲法の理念は書けば実現するというものではありません。制度を工夫し、憲法を生かすこと、現実を憲法の理念に近づけていく努力が必要なのです。

オタクのコーナー
日本テレビ、「中井正広のブラックバラエティ」に「おっぱい番長」相澤仁美さんが登場、またも大活躍。視聴者からの「レモン丸かじりでダイエット」「玉ねぎ丸かじりでダイエット」などの投稿に、他のゲストが「そんなの無理だ」「かえって体悪くするよ」と言っている中、相澤仁美さんは、「私も玉ねぎの丸かじり大好きですよ。食べていいですか」などと言って玉ねぎを生で丸かじり。

自分も盛り上げるためには、身を犠牲にするタイプなので、相澤仁美さんのサービス精神に気高さすら感じる。
こういうことをやると、みんなはその場は盛り上がりつつ、8割の人は馬鹿にしたような態度をとる。身を犠牲にして盛り上げるというのはかなり割に合わないボランティアだと、私は実感している。もっと売れていない人がテレビに出るためにやむなくやっているのと違い、日本テレビフォトジェニック受賞の相澤仁美さんは、そんなことをやらなくても良い地位には上っていると思う。

率先して盛り上げてくれる人を粗末に扱うなかれ。こちらがストライキ起こせば全体が暗くなるのだ。
93センチ程度の胸はグラビアの世界では珍しくないが、相澤仁美さんのサービス精神については心から称えたい。