私が天才? 天才になれる人!
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「いいえ、知らないと思います!基本的には自分が何が起ころうと言いません!誰も干渉されたくないのです!今度の場合も基本的には姉に言うつもりはなかったのですが・・・」

私は答え方が悪かったせいか、少しの間、沈黙があった。

姉は上半身を乗り出すようにして少し笑顔を出して、

「弟は前の会社に決めて時でも、大学の時に『就職しろ!』と何回も言っていたのにいつの間にか就職を勝手に決めて来たんです!それに大学を決める時もいつの間にか合格したんです!」

と、医師に向って言った。

医師は、

「そうですか!」

と言って、姉の方に向いていた顔を私の方に戻して、

「今まで会社務めをやった事はありますか?」

と問いかけた。

私は心の内でピックとして、

「あの、大学を出て半年ぐらい、大手企業の子会社である???会社へ行っていました!」

と言った。

「どんな業種の会社なのですか?」

「ファックスミリやコピー機を製造しているメーカーです!親会社から大型コピー機の部門だけ、その会社へ移転して来たような会社です!」

「で、なぜ、お辞めになったんですか?」

「それは姉がいる前では話しません!それに言いたくも言えません!」

と、私はチラと姉を見た。

私は医師が質問し始めてから、姉が直ぐ近くで聞いているのが気になって仕方がなかった。

「おねえアンガ一緒にいて御相談して方がよろしいのではないですか?」

「いや、いない方が話しやすいと思うのですが・・・」

「そうですか!」

と、医師は姉に再び姉を見て、

「御ねえ様、申し訳ありませんが席を外して頂けないでしょうか?」

と言った。

「はい!承知しました!では向こうの部屋にいますので・・・」

姉は置いておいた手提げハンドバックを手にしてイスから腰を離れた。

医師は、

「申し訳ありません!」

と言って、姉が立ち去るまで眺めていた。

姉は、

「では宜しくお願いします!」

と、お辞儀してドアをゆっくりと閉めた。

医師は私の方に向き直して私に目線を合わせた。

「で、先ほどの質問なんですが、なぜ、お辞めになったんですか?」

「あの、その・・・、えーと・・・」

と、先ずどう言えば良いか考えていた。それに私に降りかかる現象が人から信じてもらえるとは思えなかった。

私は続けて言った。

「高校の頃から話さないとわからないと思うんですけど・・・あの、その、高校の入学して直ぐにですね!異常な緊張感があったんですよ!それで手を1度下げたら、それを上げようとしても余程の勇気がないとダメなんです!」

カンセラーって医者?

しかし、ここの部屋の人たちは私をただの客が来たとしか思っていないようだった。上がって来た階段の直ぐ左脇にドアが30cmぐらい開いていた。私は身体の上半身を乗り出して、その部屋を覗き込んだ。その部屋には姉が正面を向いて座っているのが見えた。どうやら、誰かと目線を合わせて聞き入っているようだった。ちょっと、部屋の中へ入りずらいと思ったが、なるがままでいいと思ってドアを左手で開けながら覗き込むように入って行った。姉が座っている場所からテーブルを挟んで、橋向かいに座っている背広を着た男の人が見えた。

あれ?カンセラーは女がやるものだと思っていたけど違うんだ!

男はこちらに振り向いた。

私は何と言ってよいかわからくて、

「・・・」

と、呆然と立ちすくんでいた。

今の私を見るとぶっきら棒に見えるかも知れない。良く知らない人に逢うと初めのうちは一瞬、何と言ったら良いか考え込む為、呆然と立ちすくんでしまう。しかし、全くその逆もあって、ひょうきんになってしゃべり捲くる場合もある。要するに相手の話しを一方的に聞いているだけで黙り込んでいるか、何時間でも1人でしゃべり続けるかの二通りしかなく、その間と言うものがないのだ。この日も恐らく、その傾向になるて自分の悩みが他人のように思えていた。そう思えるのも自分が今現在を考えると悩んでいない為かも知れない。

男の人が手をテーブルの向こうがしのイスの方へ差しのべて、

「どうぞ、おかけ下さい!」

と言ったので、私は何も言わずに座った。

たぶん、この方の前では私の表情はニコニコと笑顔を出していたと思う。

男の人が自分が何者か、私に向って紹介し始めた。

「東大病院の精神科の???です!」

と、おしゃった。

私は一瞬、上半身を後ろへやって、

え、この人?カンセラーって精神科の医者がやるのか!俺はきちがいじゃないぞ!

と思った。

ここで男の人の正体がわかったので、今から『医師』と呼ぶ事にする。

医師は私に問いかけた。

「ところで、今日は何を御相談にいらっしゃったんですか?」

「あのですね?その、今度、コンピューター会社へ就職する事になっているんですけど・・・。困る事があるんですが・・・」

医師は白紙に万年筆でメモをとり、問いかけた。

「御両親は就職する事を御存じなのですか?」


カンセラーって医者?

●カンセラーって医者?

いよいよ、私が保健所へ入らなければならない。ドアを開けて突入した。

「歩けなくなるのではないか?」

を意識する事をこの時は忘れていたようだった。サッサッと姉の後を追って歩いて行った。中はシーンとしていて空き巣かなと思わせるような照度ど足りない廊下で不気味だった。

姉は突然に止まって振り返って、

「受け付けへ言って!」

と私に言った。

受け付けに言って?何の事?まー、言えばいいんだな!

私は屈めて受け付けの若い女の人に言って見た。

「すみません!あの今日、ここへ来る事になっている小林、小林雄一ですが・・・」

若い女の人は何やら書いていた仕事をやめて、

「小林雄一さんですね!恐れ入りますがそこへ書いていただけないでしょうか!」

と、ノートに向けて手を差しのべた。

私はその手につられて、開かれているノートを見た。今までノートが直ぐそこにあるのに気がつかなかった。ノートはごく普通の大学ノートのような物で文房具屋なら、何処でも売られている代物だった。既にページだけ見ると3、4人の住所と名前が記載されていた。これを見れば、

「ここは来客の人を記録する為に書くんだな?」

と誰でも思うはず。

私はノートの近くに転がっているボールペンを右手に持って、

『小林雄一、△△△丁目△△の△△』

と書き記した。

ボールペンを置いて、

「で、何処へ行けばいいの?」

と言おうと辺りを見回すと姉の姿がなかった。

さっさと2階から現われたから、きっと、2階へ行ったんだな、声を聞く音は聞こえなかったし・・・

私は受け付けの向かい側にある階段を上がって行った。すると、明るい光が全身を浴びて来たのだ。店や事務所に使用する蛍光灯を2本組にして天井に張り巡らせ、それぞれが光を放していた。その下では白い服にネクタイを首にまとった人が20人ぐらい机に向って、何やら書いていた。何人か、こちらに目をやっていた。

私はその人たちを見て、

今日は精神的に悩む人が来る事をみんなが知っているかも知れない。変な人が来ると思っていなければいいんだけど・・・。

と片隅に隠れたい気分になった。


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