ゲノムとリスク | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/4/25

 

宮川剛さんの「スニップ【rs1447295】」はAC タイプ。
‘前立腺がん’にかかるリスクは標準的な人に比べて1,37倍です。


また「スニップ【rs2200733】」はTTタイプ。
‘心房細動’の発症リスクはCTタイプに比べて1,4倍、CCタイプに
比べて2,2倍となります・・・。

『「こころ」は遺伝子でどこまで決まるのか
      ~パーソナルゲノム時代の脳科学~』
            宮川剛著 NHK出版新書

「私たちのからだをデザインしている設計図」がゲノムです。


ヒトのゲノムは4種類からなる30億個の文字列ですが、そのうちの
99,7~99,9%は誰もが同じなのだそうです。
肌の色、髪の色、体質、性格・・・。こうした違いは30億個の内の
0,1%=300万個のどれかが異なることによって生じます。


そのひとつひとつをスニップと言い【rs1447295】とか【rs2200733】
とかのIDが振られているのです。
ひとつひとつのスニップが、ヒトのどんな違いに関わるのかという
研究は、急速に進んでいます。


現在では、各個人のゲノムのそれぞれのスニップのタイプを簡単に
調べてくれるサービスも登場しているとのことで、冒頭の結果は、
著者の宮川さん自身がそのサービスを受けた結果の一部です。


解析結果からは、さらに円形脱毛症、神経芽細胞腫、胃がん、発達性
失読症、非アルコール性脂肪肝などにかかりやすいとあるそうです。
ゲノム解析といった技術の進歩は、自分が何者であるのかといった
根源的な問いに、科学的なデータを否応なく突きつけてきます。


しかし、前立腺がん、心房細動、円形脱毛症、神経芽細胞腫、胃がん、発達性失読症、非アルコール性脂肪肝のすべてのリスクをヘッジすることなど、通常の日常生活を送りながら本当にできるでしょうか?

対応しなければならないリスクは、自分の資質に存在するものばかり
ではありません。
私たちが生きていく社会にも、様々なリスクがあります。

地震、津波、台風、交通事故、テロ、戦争・・・。

生きていくためには、内外に存在する無数に近いそれぞれのリスクを、決して侮ることなく、かといって過剰にも陥ることなくバランスを
取りながら折り合いをつけていかなければなりません。

「起業」においてもまた、成功への道のりにいくつもはだかるリスク
を認識してその影響の大きさを見積もり、適切に対処していかなけれ
ばならないでしょう。