2014/1/16
“むかしむかし、メイシ天皇の宮廷でのこと。
サムライ達はみな、大好きな「オーパ」という遊びに興じて
いた。
参加者は皆自分の赤い小魚を持ち寄り、その魚にご飯で作ら
れた輪で輪くぐりをさせる。
より高くはねた魚が勝ちという遊びだ。
そして勝利した魚の持ち主の侍は太陽の天皇、メイシ天皇と
会うことができる権利をもらえた。
侍達は皆その栄光が欲しく、勝利する方法を色々と模索して
いた。
ヤキモトは、とある村に住むオム仙人に助言を貰いに行った。
仙人はこう言った。
「三日間魚にあんこ入りの餅を食べさせなさい。さすれば福
の神があなたの家の暖炉の煙突に住むようになる。」
ヤキモトは大変喜び家へ急いだ。
家へ帰ると、一番質のいい米をつき砕いて美味しい餅を作る
ように命令した。
三日後に試合が始まった。
ヤキモトの順番がまわってきた。
ヤキモトは容器を持ち、米の輪の下に置き、魚が跳ねるのを
待っていた。
しかし、美味しい餅で太った魚は、輪に引っかかり出られなく
なった。ヤキモトは腹が立ち、刀を抜き魚を切った。
その切り身は審査員の前に置いてあった皿に落ちた。
すると扉が開き、メイシ天皇が入ってきた。
天皇は結果の書いてある板を見ようと審査員に近づくと、ご飯
の中に入った魚を見つけ、すぐに食べてしまった。
口にいれた瞬間、
「○・○」
と言った。
その言葉は、
「魚の入っているご飯はとても美味しい。作った人はここへ来
なさい。」
という意味だった。”
これを読んで何のことを説明したか理解できた方は偉い、いや、
少しおかしいです。
実は、ロシアの中心部にある「Япония(日本)」という日本
料理店のHPに書かれた「寿司の誕生に関する説明」です。
「○・○」には「ス」「シ」が入るのだそうです。
「ス・シ」にはもちろん、「魚の入っているご飯はとても美味
しい。作った人はここへ来なさい。」という意味はありません。
どうすればこんなでたらめな説明が出来上がるのか、さっぱり
わかりません。
しかし・・・
では、日本の寿司の起源について正しく説明してください、と
言われて、どれだけの方が正確な説明ができるでしょうか。
少なくとも私には説明できるほどの体系的な知識はありません
でした。
ウィキペディアの寿司の項をあわてて読んで、そういえば、
「華屋与兵衛」が握り寿司の創始者だと、以前同名のファミレス
の説明か何かで読んだなあ、と思い出した程度でした。
世界遺産にも登録される和食を代表する「寿司」について、
日本人である私がしどろもどろでほとんど説明のできないよう
では、上記のHPのいい加減さに青筋を立てて怒りをぶつける資格
はないでしょう。
「そんないい加減なことをする企業はつぶれてしまえ。」
「こんな政治をする政治家はだらしがない。」
なんにしろ、非難するのは容易ですし、もちろん批判を口にする
権利は誰にもあります。
しかし、知識の裏付けのない批判や代替案の無い非難は、社会を
停滞させることはあっても、決して前へ進めることはないのです。