『牛の鈴音』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2009/12/21

韓国では300万人を動員し、インディペンデント映画で初めて
興行成績第1位を獲得したドキュメンタリー映画『牛の鈴音』
が公開されました。

主に登場するのは、老夫婦と牛。農薬や機械を使わずに、自
らの手足と牛の力で農業を営む姿が、淡々と描かれていきま
す。

頑ななまでに自分のスタイルを貫き、他の価値観に影響され
ること無く、残り少なくなった歯磨き粉の、チューブの中身
を絞り続けるかのような、老農夫のひたむきな生き様は、い
つでもぴったりと寄り添うように作業を支えてきた、老牛の
姿に重なります。

一瞬たりとも緊張を解けない、現代社会の絶え間ない変化に
翻弄されて、主体性をなかなか保てない私達にとって、田舎
に生きる彼らの生活は、時間の流れが牛の歩みのようにゆっ
くりで、退屈なまでに単調なのに、なぜか骨太で自信に満ち
ていて、とてもうらやましく感じられるのです。

老いも進み、まっすぐに歩くことも儘ならなくなりながらも、
文句ひとつ言わずに、命が尽きる直前まで、もくもくと働き
続けた老牛の姿は、崇高ですらありました。

自らに与えられた人生を、他人と比較することなく一生懸命
に生き抜き、歯磨き粉のチューブの中身をすべて搾り出すよ
うに、最後まで、誇り高く生き切ることができたなら、それ
こそが真の幸せなのかもしれません。

店舗探し.comも、『牛の鈴音』の老牛のように、これからも
会員の皆様のために、黙々と働くことを誓います。