セカンドライフで成功するために | 店舗探し.comの過去コラム

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2018/2/3

「人は、手に入れたものじゃなくて、手に入らなかったもので出来てるんだもんね。」

医療技術の進歩により、平均寿命はますます延びていくことが予想されています。一方で、日本の人口が、今後増加に転じる見通しはまったくありません。
年金支給開始年齢は次々と引き上げられ、定年退職後ものんびりしているわけにはいかなくなってきています。
息子や娘は非正規労働でその日を生き凌ぐので精一杯。親の面倒を見る余裕はありません。
かくしてセカンドライフでは親子で起業して、新たな経済基盤を確保しようと考える方が増えています。

昨日まで開催されていたFCショーでも、それらしき親子連れを多数見かけました。
加盟店開発のために出展しているFC本部は自らの事業の優秀性を懸命にアピールします。

「収益性の高さが自慢です。」
「誰でも簡単にできます。」
「安定的に稼げます。」
「ご家族一緒での経営に向いています。」
「小資金で起業が可能です。」等々。

話を聞いてみれば、どこのFCも魅力的で目移りしてしまい、どれを選んでいいやらと当惑されて、店舗探し.comのブースに立ち寄られる方も多数いらっしゃいました。

「時給5,000円~+高額バック各種」
 ☆誰でも気軽に働ける環境です。経験に一切関係なく5,000円以上保証します。
 ☆月1~OK

これは某キャバクラのフロアレディの募集広告です。
【未経験】でも、月に【たった1日】でも【気軽】に時給5000円以上稼げるのですから、応募を考えている女性にとっては魅力的な条件でしょう。

しかし、この店を利用する顧客目線でこの広告を眺めてみると、まったく別の印象になります。
接客技術もプロ意識もない女の子でも1時間当たりの時給は5000円以上ですから、お客の支払いはもちろんそれ以上の高額なものになります。
フロアレディに高級優遇の店は、値段の高いぼったくり店かもしれないのです。

FC本部加盟店の候補者に胸を張った事業の優秀性を顧客目線で意地悪く翻訳してみると、「収益性の高さが自慢」なお店とは「コスパの悪い店」かも知れません。「誰でも簡単にできる」事業は、真似がしやすい、参入障壁の低い事業で、先行きの投資回収に不安定な要素があるかもしれません。

たとえば鰻の激安店ならば、仕入れの工夫だけでもできるでしょう。しかし、老舗の鰻店のコピーは不可能です。100年継ぎ足してきたたれと同じものを再現するためには、あと100年かかるのです。

新規開業をお考えの皆さん。
今一度、加盟を検討している事業を顧客目線で見直してください。
加盟者にとって都合のいいことが、顧客にとってマイナスに働くことはないのかどうかを、冷静に見極めてください。
顧客に支持し続けられなければ、事業は長続きしないことを、もう一度、腹に落としてください。

冒頭のせりふは、今クール話題のドラマ『anone』(坂本裕二脚本 日本テレビ)で、田中裕子さん演じる林田亜乃音が、ハリカ(広瀬すずさん)に向けてしゃべったものです。

人は、手に入らなかったものを求めて生きています。
それは「お金持ちといわれるほどのお金」なのか、「安定した生活」なのか、「絆を実感できる家族」なのか。
手に入れようとあせればあせるほど、夢は遠ざかってしまうものなのです。