2009/06/28
最近よく夢を見ます。
ぽかぽか陽気の里山には、クロシジミが舞い、小川の
せせらぎの音に混じって、ベッコウトンボの羽音も耳
をかすめます。
人種や性別、年齢すら不明な人々が、国籍不明の料理
や飲み物を口にしながら談笑しています。
交わされる言葉は、今まで耳にしたことのない何語と
も言いがたいものであるにもかかわらず、どこか懐か
しく、会話に耳を傾けていると幸福感が心を満たして
くれます。
心地よさに身を委ねているうちに、逃れがたい眠気に
誘われ、いつのまにか眠りに落ちていきます。
そしてまた、夢を見ます。
人が生き生きと働いています。
皆、誇り高く自信に溢れた仕事ぶりに見えます。
傍らを見ると
「聖書 ビジネス伝」
という本があります。手にとってぱらぱらめくってみ
ます。
預言その１ 世界とはすなわちゼロサム社会である。
経済成長とは利己主義者の幻想に過ぎず、
本来は経済改善しかありえないのだと肝
に銘じるべし。
預言その２ 勝者の幸福と引き換えに不幸な敗者を生
み出すビジネススキームは存在してはな
らない。
預言その３ 同業種の企業はすべて合併し、世界中で
一業種につき一社しか存在してはならな
い。支店、営業所、店舗などは、適正な
数だけ、適切な場所に配置すべきこと。
預言その４ 最適化された結果、余剰になった人員、
資金やエネルギーは、すべて人間の幸福
を増大するために必要な分野へと投入し
なければならない。
預言その５ 「倒産」「失業」「企業戦士」「競合他
社」「貿易収支」・・・これらの言葉は
すべて焚字炉へ送り死語とするべきこと。
《中略》
最終預言 最適化されたとき、顧客、店舗、SCすべ
てが満足し、決して敗者を作り出すこと
のない、『売上歩率賃料』という仕組み
をこそ、すべてのスキームの模範とせよ！
・・・ふと目覚めた里山には宵闇が迫っています。
ヒメホタルの放つ光に導かれ、小川に足を踏み入れて
みます。
水音に驚いてメダカが群れを成して逃げて行きます。
突然の闖入者にもいっこうに動じることなく、タガメ
が足を突っついてきます。
小川の澄んだ水を掬って口に含みます。そのきりっと
切れのある冷たさは寝起きの頭をすっきりと・・・。
・・・金属音のベルがけたたましく鳴り響き、現実の
世界に引き戻されます。体の芯に疲れが残ったままの
不快な目覚めです。
ほっぺたを叩き気合を入れると、掛け声とともに一気
に起き上がります。
負けることの出来ない、戦いの一日が、また始まります。