2009/12/16
深夜、自宅の玄関をノックする音がします。
誰何すると
「政府直属の景気対策特別チームのものです。」
とのたまう。
招じ入れると、彼は早口でまくしたてます。
「ここに1000万円あります。これをあなたに差し上げます。
条件は2つ。
まず第1に、このお金は1年以内に使い切ってください。
貯金してはいけません。
第2に、このことは誰にも口外しないでください。
あなたは、未曾有の大不況を切り抜けるウルトラCのプロジェ
クト『実弾ばら撒き作戦』の対象者として運よく選ばれたの
です。
このお金は、造幣局の職員が残業して余分に刷った紙幣を、
そっと裏口から持ち出した簿外の、いわば存在しないはずの
お金なのです。
約束していただけますか?」
「も、もちろんです!」
なにしろ、1000万円を1年間で使い切らなければならないのです。
車を買ったり、海外旅行に行ったり、豪快に飲み歩いては気前
良く散在することにします・・・。
ところが、口には出せませんが、どうも自分以外にも同じ幸運
に浴した人間が、たくさん居るような気がしてきます。
・・・実は日本中、すべての人にそっとお金は配られていたの
です。
政府は、何食わぬ顔をして、余分なお札をじゃんじゃん刷って
は市場にばら撒いたわけです。
かくして、日本の帳簿上は存在しないはずのお金が、いつのまに
やら、ぐるぐるとダイナミックに流通して、デフレは解消、日本
の景気は一挙に回復するのです。
作戦は大成功!
しかも、こんな馬鹿げたことが行われていたことを口に出すもの
は誰もいないのです。
そう、今夜あたり、あなたの家の玄関を、そっとノックの音が・・・
・・・下手なSFはここまで。
さあ、現実に戻りましょう。